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希望を切望を羨望を。

はてさて昨日の今日。

生きるためにやってきました。

そういえば8月は僕の大好きなVOCALOD、初音ミクの誕生祭があって。
いまニコニコ動画をめぐっていたら思わず泣きそうになりそうな曲とかあって、ああ、愛されているなあと実感しました。
彼女と出会って5年、ボーカロイドをとりまく環境はとても変わってしまったけれど、彼女や彼女たちが愛され、使われて、そのブームが広がっていくことはとてもすばらしいことだと思います。
きっとこれからもどんどん大きくなっていくと思います。
どうか、これからも彼女たちが愛されますように。様々な創作が行われていきますように。



そしてピーターパン。  ミス・フックはその日、学校から帰ると風呂に入り、夕飯を食べて、ストレッチをして、鞭の練習をして、軽くシャワーを浴び、今日の復習と予習をして、寝る準備をした。
 いつもと同じルーティンをこなした彼女は、満ち足りた気分で天蓋付きのセミダブルのベッドに潜りながら、一人の少年を思い出す。
 それは彼女の、寝る前の日課だった。憧れの人を想ってその日一日を思い返す、自分だけのとっておきの時間。
 今日の彼はどこにいたか。今日の彼はなにをしていたか。今日の彼はなにを話していたか。今日の彼はどんな顔をしていたか。今日の彼は――。
「いい匂いがしていた……」
 ほう、とクッションを抱きしめてため息を吐く。熱のこもった視線の先には、記憶にある昼間の光景。歩いてきた彼に鞭を放ち、右の足首をひっぱりあげて自分のもとへと引き寄せると、少年は新しい生き物かなにかのように悲鳴を上げた。
 女性を見て悲鳴をあげるとは何事かと彼女は思ったが、少年は元来臆病な性格だった。少しのことで首を横に振るし、進んでいた場所から後退を始める。
 やれ、と命令されなければ動くことのない少年だった。おとなしく、控えめ。本を読んでいるというより、日なたか日影でぼーっとしているような、そんな少年だった。
 ともすれば冴えないと形容するのが一番ふさわしいだろう。けれど彼女は少年が好きだった。誰よりも。なによりも。自分よりも。
 スタイルがよく、美貌を持ち、頭もよい彼女が、どうして冴えない少年を好きになったのかと周囲が不思議がるのも当然だった。「どうしてあんな男を?」と彼女はよく尋ねられ、そのたびに彼女は、
「私にとって彼はヒーローなの」
 満開の花のような笑顔でそう言うのだった。
 そう。少年は彼女にとってのヒーローだった。唯一無二といっていい、彼女のなかの絶対的な光だった。
 彼女はそのサファイアの瞳を、黄金色の睫毛が縁取った瞼で覆う。瞼の裏に浮かぶのは、放課後の光景だった。涙目で逃げ出していく少年の後姿は儚げで、とても男らしくないのだ。彼女でさえ、少年のあまりの腰抜けぶりに苛々とすることがある。
 ――でも、そんなところも好きだ。
 クッションを両腕でぎゅっと抱きしめて、彼女はふふふっと笑う。好きな人を想うのはどうしてこんなにも楽しいのだろうか。すべてが愛おしく感じ、少年を思い出すだけでひどく満ち足りた気分になる。
 彼女はごろりと寝返りを打った。うつ伏せの姿勢から腕を伸ばしてベットサイドの写真立てを手にとる。
 冴えないと言われた少年が、シンプルな写真立てに収まっていた。どこか光に溢れた場所で、少年は背筋を伸ばし凛とした風で立っている。その目はまっすぐに一方向を向いているが、残念なことに少年の視線の先はフレームアウトしているために、なにを見ているのかはわからない。
 だが彼女にはそんなことはどうでもよかった。
 大好きな少年が写っている写真を見つめて、彼女は相好を崩す。なにがそんなに嬉しいのかと尋ねられそうな笑みを湛えて、写真立てを布団へと引き込むとそのままもう一度瞼を下ろした。
 今日こそ彼の夢が見られるといい。そんな願いを胸に、彼女は今日も眠りの中へと落ちていく。
 安らかな眠り。けれど、少年が彼女の夢に現れることはなかった。


*****
Title of "He is not in her dream."
to be continude...?

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