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名前に依存する賞賛と賛美を抱えた影にある真実の姿

 落下して落ちた。
 違う、落ちた。それだけだ。
 黒い兎が伸ばしたサーベルの切っ先に白ウサギが踏み込むのが嫌で、私は白いウサギの耳を持つ少年の体を思い切り押しやった。つまりそれは、私が黒い兎から体を離したことと同じことで、足を切り落とされている私は、だからつまり、落ちた。
「――っ!!」
 ドボンと液体の唸る音が耳を打ち、上下左右がわからなくなった。もがいてももがいても足がないので水をかくこともできない。
 沈んでいく感覚だけが全身に伝わる。こわい。怖い。怖い、助けて!!
 なのに誰も、黒い兎も白いウサギも助けてくれない。燃えるような赤と黒と白の美女も、チェシャ猫も助けてくれない。誰もいない、なのに私はどんどん沈んでいく。
 息が苦しくて、上も下もなくて、私はパニックになる。両手をばたつかせても、ぶつかるものはなにもなかった。
 ただ耳に届いたものがひとつ。
 
 ジリリリリリリリリ

 時計の音だ。
 アナログな鐘を早打ちする時計の音が、液体を通して聴こえてくる。
 私は音のするほうを向いて、深い深い暗闇に目を凝らした。

 リリリリリリリリリ

 違う方向からまた別の時計の音。

 ピピピピピピピピピ

 まただ。また違う時計の。
 耳障りな時計の音はひとつひとつ増えていく。ジリリリと、リリリと、ピピピと、アナログもデジタルも入り混じって時計の鳴り響く音が耳を打つ。
 ――世界の果て、
 時計が一斉にざわめきを帯びた。闇の鳩時計もデジタル時計も腕時計も壁掛け時計も銀時計もみんな口々に「世界の果て、」と囁いた。


Title of "The extremity of the world and voice of clock."
to be continude...?
*****


今日は名前に依存する賞賛と評価について考えて切なくなって泣きたくなるという相変わらず無為なことをしながら、やっぱり歌っていいなぁと思っていました。
そして近キョリ恋愛の最新刊を読みました。またこのパターンかよ!と思わず突っ込みを入れる程度のナントカ。ゆにちゃんかわいいですよね。

ではでは、おやすみなさい。

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