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解答はそこらに落ちていたのに、それが解答とは知らず、今。

 そこからの動きは、わけがわからなかった。
 驚愕に目を開いたウサギを見たと思ったら、倒れている地面がぐにゃりと歪んだ。固いはずの床が波打つように揺らぎ、体に振動が伝わる。びっくりして起き上がろうとするけれど、足はいまだ赤い靴を履いたままで、私がパニックに陥りかけたその瞬間、ぐっと強引なほどの力腕を引かれ誰かに抱きとめられた。
「緊急事態だ。あとで直せ」
 その声色に滲むニヒルな笑いに一瞬で誰かを悟り、そうしてなんのことを言われたのかわからないまま、浮遊し落下する感覚が全身を包んだ黒い兎の体にしがみ付いてぎゅっと目を閉じる。
 すぐに動きは止まった。
「だめだよ、アリス」
 近くで聴こえる優しげな声に、兎の胸元から少し体を離して振り返れば、近くに柔和な笑みを浮かべて口元を真っ赤に染めたままの白いウサギが立っていた。
 その首筋には、血に濡れたサーベルの切っ先。
「アリス。嫌なことは忘れればいいんだ。辛い思いはしなくていいんだ」
「辛い思いこそ享受しろ。でなければ前に進むことなど不可能だ」
「ブラック・ラビットは黙っていてくれないか」
「うるせえ、黙るのはテメェのほうだクソウサギ。さっさとくたばれ」
「それは無理な相談だね。そてに僕が消えれば君も消えてしまう」
「俺が消えることを恐れると思うのか」
「――そうだね、君は……そうだった」
 くすりと白ウサギは笑う。
 黒い兎は私が落ちないように腕の力を込めた。そこで私は体が浮いていることに気づく。周りの地面はいまだ波打つ湖面のように揺らいでいるのに、黒い兎も白いウサギもまっすぐに立っている。
 じゃあ、どこにいる?
 浮いているわけでもあるまいと、私は下を向いた。そして、悲鳴を上げる。
「いやああああ!!」
「うるせえ」
「い、いやっ! 足……足、がっ! 足が……っ!!」
 足が、なくなっている。
 どこにもない。私の足が。足が。赤い靴を履いていた両足が足首の先からスッパリと、サッパリと消えてしまっている。
 ない。どこにもないのだ。
 足を――切り落とされたのだ。
 この黒い兎に。
「あなた?!」
「ポシェットに針と糸が入ってるだろ、そんなことより――」
 そんなこととはひどい言い草だ。私はいまにも暴れだしてしまいそうな気分だったけれど、そんなことをしたら落ちてしまうので、足のない恐怖にじっと耐えた。それでも震える腕で、黒い兎の体を抱きしめる。しがみつく。温かな体は、力強い腕は、恐怖を少し和らげた。私の足を切り落としたのはこの男だというのに。
「そろそろ、終わりにしようぜ?」
 にやりと口の端を上げて小首を傾げる。その顔にはまる両の目は相変わらず濁った深い深い色をしているのに。
 それなのに何故か、そこには光が一筋。
「残念だけど、そうはさせないよ」
 困ったように言って、ウサギは黒兎と同じ方向に同じように首を傾げてみせた。そして、彼は一歩前に出る。サーベルの切っ先が待ち受ける、その数センチ先へ。
 そうして吸い込まれるようにウサギの喉元へサーベルが吸い込まれていく様を、私はもう黙って見ていられなかった。赤い水はもうたくさんだ。だから足がないことも忘れて、私はしがみついていた胸元を押しのけて白いウサギに手を伸ばした。


Title of "Do not have."
to be continude...?
*****
あっぶねぇえええorz
そういえば忍者さんデータ一時保存してくれるようになってるんですね。タイトル探してて謝ってページ変えちゃったから一瞬だけ絶望した!


前の日記がいつものごとくブツ切りになっちゃっていますが僕は元気です。
姉さんには謝られました。どうも鏡を見ていた気分だったようです。それでも言われたことは正当なことなので考えていかなければいけないなぁ・・・とは思ったり。


とりあえずPC欲しいです。
MMD開いてモデルを2つ表示させて作業するともう数十秒~二分くらいの遅延が起こっている感じです。
背景とかアクセサリとかマジ無理なんじゃねえのという気合。作りたいイメージがどうしてもあるので作りたいなぁと思いつつ。やはり部屋の改造からですね。ハイ。
しばらく静画でも作っています。

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