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大人になるということ。

アリス宙ぶらりん中
*****

世の中には誰かが考えていることは必ず他の誰かも考えていることで。
だから僕と同じように空が青くて幸せだとか、雨がうざったいとか、パンストは非常に破けやすいとか、目薬は消耗品だとか、やりたいことがやれなくて生きてる理由が見つからないとか、きっと他の誰かも思っていると思うので、「悲しいのは自分ひとりじゃないんだ!」っていうなんの解決にもならない前を向いていない前向きさを胸に明日もバイトいこうと思います。


翼です。

っていうか僕の場合16連勤とかそういうのがないのでだいぶ恵まれてるとは思うのですが、結局そういうのって個人差なわけで。というごまかし。


そういえば京都駅裏のイオンモールがもうすぐオープンです。
プレオープンは明日からかな?
シアターが12もあるように見えないのですが、たっぷり映画が見れるそうです。そして130もの専門店が入るそうです。そんなにでかいかなぁアレ。
HPを見てみると書店の横にペットショップがあって驚きました。
ま、それよりもなにが驚きってヨドバシカメラより早く建ったってことですよね!もう6年くらい工事やってるしなぁあそこ・・・。


そんなわけで今日も元気です。  

****

 ウサギを食べるべきだとオオカミは言った。
 ウサギはきっぱり食べられるのは嫌だと言ったから、オオカミは怒って隣にいたヒツジを殴った。
 ヒツジはきゃんっ、と犬のような悲鳴を上げて頭を押さえ、それを見てライオンはやれやれといった風にヒツジの頭を撫でた。
「暴力はやめろって」
「お前に言われたくない」
 オオカミに睨み付けられたライオンは首を竦めた。
「お前にはヒツジがいるからいいだろうけど、俺は草食動物を囲ってないんだぞ」
 その言葉を聞いて、今度はきゃっと声を上げてヒツジはウサギの傍に寄った。ライオンは手持ち無沙汰になった――さっきまでヒツジの頭を撫でていた――左手をゆっくりと下ろしてからオオカミに目を向けた。
「別に囲ってるわけじゃねえよ。愛してるんだ」
 そう言った唇の上の目が本気だったから、オオカミは顔をくしゃりと歪めて舌を打った。
「でも食うんだろ」
「食わない。別の意味では食うけど、俺はヒツジは食わない」
 だから戻って来い。そう言ってライオンがヒツジの服を引っ張れば、ヒツジはびくびくと怯えた目をしたまま、それでも最終的にはライオンの腕の中におさまった。
「それでも、私はアンタに食われる筋合いも義理もない」
 離れていったヒツジと手を繋いだまま、ウサギは吐き捨てるように言った。
「お前ら草食動物は草食ってりゃいいだろうが、俺みたいな肉食動物はお前らみたいな草食動物を食わなきゃ生き残れないんだよ」
「草を捕まえるのだって簡単じゃない。だいたいなんで私なのさ、草食動物なら他にもいっぱいいるでしょうに。ネズミとか、ポニーとか、アルパカとか」
「ネズミは雑食だ、つか、どっちかっつーと肉食だ。ポニーなんかとっくに食われちまってる。アルパカなんかいるか、馬鹿」
「じゃあモルモット」
「昨日トラが食ってた」
「サイは」
「あんなもん捕まえられるか。身長190以上あるんだぞ、アイツ」
「……かわいいよね。おっきいのに……草食って」
 オオカミのぼやきに鈴の鳴るような声でヒツジが呟いた。さっきの怯えを忘れたように穏やかにくすくすと笑うその様子を、ライオンが愛しげに見つめた。
 だから、ウサギとオオカミはそろって砂吐き用のバケツを探した。
「……とにかくよ、他に見つからないんだ。大人しく俺に食われろ」
「絶対に嫌。腹減ってるなら肉食動物でも襲え」
「すべてにおいて平均値の俺が、いまからトラやワニを襲えると思うのか。アイツらどこにいるかさえわかんねえぞ」
「大丈夫だって。そこにライオンがいる」
 ウサギの指指す方向をオオカミが見、ライオンはその視線を受けてニヤリと笑った。
「百獣の王に挑むのか、いい度胸だな」
「勘弁してくれ……」
 両手を挙げて降参の意を示し、オオカミはため息を吐いた。
「でももう俺も餓死しそうなんだ。なあ、せめてちょっとだけかじらせてくれねえ? なあ、腕とかだけでいいから」
「だから嫌だって。肉食動物が腕かじるくらいで大人しくなるとは思えないし。それに、仮に腕だけで済んだとしても、本当に食べられるわけじゃないけど痛いし腕が動かなくなることにはかわりない」
「俺が死ぬのはいいのか」
「弱肉強弱の宿命だよ。アーメン」
「クラスメイトだろ」
「元、ね」
 ウサギはそう言って立ち上がった。ビルの入り口に立ち、両耳に手を当てて、外の様子を窺うようにしながらもすっと瞼を下ろした。
 それを3人が見守るなか、すぐにウサギは目を開いた。アルビノの赤い瞳が月光に輝き、ヒツジが嬉しそうに声を上げた。
「足音がする」
「でかいか?」
「歩き方でわかるよ、きっとキツネだ」
 キツネ……とオオカミは呟く。その目がギラリと鈍く光り、ウサギはどうする? と尋ねた。
「足止めくらいなら手伝うよ」
「いいのか?」
「自分が食われるよりマシ」
 誰だって死にたくないからね。そう言ってウサギはポケットから髪ゴムを取り出してセミロングの髪を結い上げた。
「そーかよ。ま、俺は食えるなら誰でもいいけど」
 そう言ってオオカミはグローブを嵌めた。薄闇のなかでニヤリと笑った口元から覗く八重歯が、日常のなかの彼のものより幾分尖っていた。
「気をつけて」
 ヒツジのちいさな声が背中を向けたままのふたりの片手を上げさせた。ビルの外へ向かって歩いていくウサギをオオカミを見送りながら、ライオンはヒツジの髪にキスを贈った。
「ねえ、ライオンくん」
「ん?」
「この食物連鎖……いつになったら終わるのかなぁ……」
「さーな。少なくとも、お前は俺が守ってやるから心配するな」
「……うん」
 月光がもれる四角形からふたりの姿が消えてしばらくあと、聞きなれない誰かの絶叫が辺りに響いた。


end

設定的なもの。

動物の要素を持った不思議な少年少女たちは、それぞれ食べ物を探してさまよいます。
草食動物はどこからきたのかわからない”草”と呼ばれる不思議な浮遊物体を。
肉食動物はそんな草食動物を食って生き延びます。ちなみに肉食動物が草食動物を食べるのはカニバリズム的なグロいものではなくて、魂を喰らう、ということいに近いです。でも食われるとき死にそうなほどの痛みがあります。
食べなければ飢えて発狂するか、餓死します。なのでみんな喰らい合います。
ただ、少年少女たちは呼び合う名前こそ動物のそれですが、人間なので、草食動物と肉即動物が手を組んで草食動物を襲ったり”草”を探したりします。

そんな世界のワンシーンです。

とりあえず全部「た」で終わらせたかった。

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