「勉強? そんなのしてないってー」という類の言葉は勉強してるやつほど言うものである。 とりあえず行かなければと立ち上がると、目の前に卵がふたつ。「アリス」「アリス」「どこ行くの」「どこ行くの」 その声はまるで同一。けれど同一にして別のもの。自らの殻から両手両足を生やしたふたつの卵に、私は見覚えがあるように感じたがきっと気のせいだ。私には卵の知り合いなどいないはずなのだから。 私は卵の質問に答えた。「ウサギを追いかけているの。どこに行ったか知らない?」 その台詞に、卵はお互いに顔を見合わせるような動作をした。顔がないので、本当に顔を見合わせたとは言えないかもしれないが。「もしかしたら」「もしかしたら」「チェシャ猫が」「チェシャ猫が」「「知っているかも」」 キレイなユニゾンだった。私は卵に礼を言ってその場を離れた。 しばらく道を歩くと、どこからか声がした。「そこのアリス」 声はどこからか聞こえて、どこから聞こえたものなのか、誰が発したものなのかはわからない。何故なら声はどこからでも聞こえてきたし、声の主の姿は見えないからだ。「こっち、こっちだよ、アリス」 頭上から声がした。上を仰ぎ見れば、そこには猫がいた。「あなたがチェシャ猫?」 ピンクと紫のボーダーをその毛で再現した猫は、にんまりと笑う。 とても違和感があったので思わず顔を歪めたら、猫は目を細めてすうと消えた。「あ、れ?」「酷いなぁ酷いなぁ。それが初対面の猫に対する態度かい? 猫には優しくしなくちゃ」 猫は私の左手の木の枝に乗っていた。にんまりと口の端を持ち上げ笑う顔は、どうにも私の知っているチェシャ猫にはそぐわない。合っているのはピンクと紫のボーダーくらいのものだ。「それでどうしたんだいアリス。なにか不思議があるのかい?」 きっと、このチェシャ猫は私の知っているチェシャ猫とは別人なのだろう。そう結論をつけて、私は木の上で寝そべる猫に問いかける。「白い耳のウサギを追っているの」「白い耳のウサギ? なにを言っているんだい、アリス。ウサギは一匹しかいないよ」「たしかにウサギは一匹しかいないわ。でも――」「でも、なんだい?」 続く言葉がなかった。私は開いた口を閉じて、首を傾げる。「なん――でも、ないわ……」「ふうん…………。まあいいや」 存外にもあっさりチェシャ猫は引き下がる。「ウサギ。ウサギねぇ。ウサギに用事があるのかい」「追いかけなくちゃいけないの」「どうして?」「追いかけなくちゃいけないから」 私の返答に、チェシャ猫は呆れを隠そうともしないで息を吐いた。「こりゃあもしかしたらもしかするかもね」 言って、チェシャ猫は更ににんまりとを口を左右に引き伸ばす。まったくよく喋る猫である。地獄の業火に焼かれる罪人の断末魔のような声じゃないのは、幸いと言うべきなのだろうか。 「君には芋虫に会うことをお勧めするよ。きっと力になってくれるだろうよ」 声はどこからでも聞こえてきた。チェシャ猫はヒゲを揺らし、その姿をすうと空気に溶け込ませ消えた。 私はチェシャ猫の声に頷き、道を進んだ。しばらく行くと木々の背が高くなった。更に進むと、巨大な花が咲き乱れる花畑に辿り着いた。 道端で見かける花が私の頭上を覆い影を作っているのは、不思議な光景だった。 私はチャシャ猫に言われた通り、芋虫を探すことにした。アゲハ蝶にお辞儀をして、ミツバチに蜜をわけてもらった。そうして花畑を進んでいくと、とびきり大きな花の根元に、緑色の芋虫がパイプを咥えて花びらの上に座っていた。「もしもし、芋虫さん」 話しかけると、芋虫はとろんとした瞳でこちらを見た。夢見心地のような表情で、芋虫は花びらの上から私を見下ろす。「誰だい」「私です」「そうかい」「白いウサギを探しているの。どこにいったか知らない?」「しーろいウサギ白ウサギ。うーん、うーん。真白のウサギは世界の果て。真黒の兎は狂った真実。忘却に囁く絵空事を信じきった夢見る少女は、ばばん、はたして世界を取り戻せるのか。光を見つけただけじゃお話は終わらない、続くよ続くどんだけーってそんだけー。エピローグは、まだね、もう少し先。すべての謎は解かれることなかれ。真実はいつもひとーつ」 芋虫の言葉は、全く意味がわからなかった。 私は質問を変える。「ねえ、吸っているそれはなに?」「妖精の粉だよ、気持ちよくなれるんだ」「阿片ね」「そうとも言う」 私は焦点の合わない芋虫にさよならも告げずにその場を離れた。title of "Story 2 of the ■■■■■"to be next episode..."Story 3"*****多分、「自重しろ」と言われるのはこういうところにあるんだと思う。午後の試験の勉強とマジでひとつもやってない。時間の経つのは早いなぁとぼんやり考える。翼です。しかも午前の基本問題やってたら、数ページ吹っ飛ばしてたことに今更気づくっていうね。システム分析なんて大嫌いだっ!!ついでに試験会場が遠いよ!orzつーかなんで僕はチェシャ猫を描いているんだろう…ふと思い立ちビジュアルを掻き起こしてみたらネコ耳inネコ耳になった。ミステリー。やっぱ描くと上達するのは本当なんだなぁと実感。全くもってお世辞にも決して上手いとは言えないが、小学生レベルはきっちり越した感じです。……小学生の絵が上手い子と比べられたらたぶん下手な部類になるだろうけれど。っし、明日がは頑張って行くぞー!(行くまでが最大の試練です) [0回]PR