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「終わりだって? そんなの、始めて始めて最後に言う台詞だろう」

 近くで見るとよくわかる。双子の殻を着た双子の片割れは血塗れだった。
 私が縫ってあげた巨大怪鳥の羽を使った洋服はどこかへ捨てられたようだ。
「……あ、の」
 声をかけても、双子は構えを解かない。
 どうしよう。私は思った。今回は双子に八つ裂きにされるようなことをした覚えはないのだけれど。
「アリスよアリス」
「アリスよアリス」
「ここは」
「ここは」
「匂う」
「臭う」
「だから」
「はやく」
「「外へ」」
 卵の殻を着た双子は、私の目を見つめてハッキリと宣言する。
 私にはどっちがコロッセウムの前で殻を割られた双子の片割れなのか判別が付かなかったが、少なくとも双子が私の身を案じて、何事かを忠告に来てくれたことだけは理解した。
「……外、って」
 はっきり言ってこれ以上ないくらい感激する申し出だったが生憎私はトランプの女王候補者のひとりだ。はい、どうもと双子に挟まれて法廷を後にするわけにはいかない。
 たじろぐ私の上から、何度目かになる木槌を叩きつける音が聞こえる。
「静粛に、静粛に!」
 裁判長の声は傍聴席にいる観客の声に紛れてしまう。一定のトーンを保ったままに同じ台詞を繰り返す裁判長は、どこか機械染みている。
「――どうして、双子が」
 その言葉を紡いだのが、裁判員席にいる金の髪の彼女だったのか、それともトランプの次代女王候補者の誰かだったのかはこの際どうだっていいだろう。その言葉が聞こえたとき、すでに双子はワンツーステップで床を蹴っていたのだから。
「アリスは」
「アリスは」
「私の」
「私の」
「「獲物だ!!」」
 高く跳び上がる双子が向かう先は、金の髪の彼女が座る裁判員席。だん、と刹那の差もなく同時に裁判員席の机に着地し、鏡のように全く対称同一の動きで包丁を振るう。
 刃物が風を切る音は、いよいよパニックを起こし始めた傍聴席から聞こえた悲鳴に掻き消された。私が見たときには、傍聴席にきらりと光る、幾本か切れたらしい金の髪をその持ち主が見捨てて、後退する金の髪の彼女が斧を振り上げたところだった。
「……ど、どうなってるの?」
 どうしてここに双子が現れるのか、ダンを探しに駆けていったのではなかったか。
 傍聴席で、誰かが立ち上がり法廷を飛び出していく。それは明らかな引き金だった。傍聴席で次々と人が立ち上がる。バタバタと駆けていく傍聴者の人々。悲鳴が上がれば、それがまたパニックを強くする。突然の襲撃者に半狂乱になった群集は、最終的には法廷を破壊へ導く。
 傍聴席と、証言台との間の柵が壊された。
 一瞬の間。
 考えなくてもわかることなのだけれど。
 一斉に駆け出す、証言台と証言台の前に立ったトランプの女王候補者たち。各々の全力でもって、この裁判から逃げ出す気なのだろう。
 ならば、私もチャンスだ。逃げ出すなら今しかない。
「逃がさないよ」
 踵を返した私の腕を、証言台に立つローズが掴む。
「アタシに替わって、女王をやってくれるんだろう?」
「私はそんなこと言ってないっ!」
「でも、アタシの他に手を挙げたのは、アンタだけだよアリス」
「私は女王になるために手を挙げたわけじゃないわ。アナタを庇おうとしただけよ」
「だがこれは現実さ」
 ローズは私の腕を千切れそうなくらいの力を込めて掴む。
「痛い!」
「逃がさない」
 ぐ、と力を込められると私は逃げれない。
 こうしている間にも法廷が崩れていくのに。逃げ出す候補者たちと傍聴者。その光景のなかで、裁判長は相変わらず「静粛に、静粛に!」と木槌を叩きつけている。
 困った。ほとほと困った。ここで逃げなければ、私はもうどこへも行けないかもしれない。そうすれば、チェシャ猫を見つけることも叶わなくなってしまう。
 …………チェシャ猫?
 ……はて、チェシャ猫とは、
「往生際が悪う御座います、トランプの女王」
 その声と共に、ローズは前のめりに倒れ込んだ。
 息を詰めたようなその表情が私の横を通り過ぎ、長身は法廷の床へと沈む。
「御機嫌ようアリス。迎えに参りました」
 それは確実にトランプの兵が発するはずのない台詞。
 けれど、その男は吐くのだ。
 1と1が連なる、その数字を持つ、ハートのトランプの兵隊は。
 燕尾服から伸びる、純白の手袋に包まれたその手を差し出して。
「青い薔薇の花言葉はお分かりになりましたか?」
 浮かべた笑みは悠然。
 私が男の手を取って呟いたのは、もしかしたら第二の鍵だったのかもしれない。
「青薔薇の花言葉は、”奇跡”と”神の祝福”――でしょう?」
 ハートの11は私の言葉に「所謂、及第点ですね」よなんとも言えない評価をくれた。
「では」
「なあに?」
 ハートの11は私の体を引き寄せると耳元で囁いた。
「私に攫われて下さい、アリス」
 低く通るような声に、物騒なことを、と思う。
 青い薔薇の匂いにくらりとする頭で最後に目にしたのは、法廷の扉の向こうに見える、スコルの姿で。
 ああ、まただ。そんなことを思う前に、私はまた意識を失うことになった。


Title of "A court panic"
To be conitude...?
*****
すっすめー!すっすめー!


どうも。
卒業がギリっぽい翼です。

今日は朝死んだ魚の目で学校へ行き、昼ごはんを食べたら復活して汗だくになりながら学校へ行き、ビデオ制作の課題分を撮り終えて学校へ行き、死んだような目で帰ってきました。
・・・色々なんかすごい文章だな。まあいいや。

とりあえず定期演奏会が終わったのでバンド抜けましたー!いやっほい!(ちょ)
多分ドラムは趣味で続けるんじゃないかなぁ。ギターは弾くの嫌になったけど、ドラムはやっぱ叩いてて楽しいし。……環境に違いかもしれないけど。
まーとりあえず、もう一週間過ぎれば夏休みです!
ゲームすっぞー!本読むぞー!話書くぞー!ファンタジア目指すぞー!企画書作るぞー!!
・・・単位、がんばるぞぉー(小声)



そういえば角川さんのエントリー間に合いました!うひゃほーい!!
明日…ていうか今日行ってきます。頑張って起きたい、な。




では、おやすみなさい!
今日はいい天気でしたね。明日もきっといい天気だよ!
お洗濯日和になりますようにー!

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