「風俗、はじめました」――…一体何の間違いだ? 「まあまあ、落ち着いて」 キリギリスの声が張り詰めた空気に割り込んでみんなの緊張を払拭したのは、多分あまり良いことではなかったのだろう。「もうすぐディナーも始まるころだ。アリス、椿姫、その他のみなさん、ご一緒にどうですかな。ああ、もちろんダンはキッチンへ戻れよ」 三月兎を睨みつけていたダンは、その言葉にピクリと肩を跳ね上げて慌てて私の後ろに隠れた。あまりの怯えように、私はダンのびくびくと震える肩を軽く抱いて、キリギリスに進言した。「ダンを食べないであげて」「それはアリスの頼みでも無理だ。……ですよねえ、ミスターマッディ?」 両手を揉みながら、キリギリスは三月兎を見上げる。窺うような視線に私は三月兎が舌打ちを零すと思ったのだが、予想に反して三月兎は整った顔ににやにやと嫌らしい笑みを浮かべるだけだった。「ああ……卵は食われないと意味がない」 だって卵は卵。生まれない卵だから。 食べられないのなら――存在する意味が、ない。「さあさあ、ホワイトラビット、アリス、椿姫、トランプの女王様も食堂へどうぞ。父には直々に料理を運んでおきますから」 キリギリスの快活とした声に促されて、トランプの女王は踵を返した。食堂へ歩いていく後姿をにやにやと笑う三月兎が追う。私はダンの手を放すまいと握り締めた。「あ、私はキリギリス前当主様の様子を見に行ってもいいかしら?」「いや…それは、やめてください。今度こそ父はショック死します」 片手を挙げて、心底心配そうな顔つきで言う椿姫に、キリギリスは飛び上がった。その答えに椿姫は舌打ちひとつ零して、なんで敬語になってんのよと文句を呟きながら食堂へ向かって行った。 ウサギと私、ダンだけが残った。「さあ、ダン、キッチンへ行くんだ」 キッチンを指差して、キリギリスは責め立てるように言う。早くしろと怒鳴るキリギリスにダンはびくりびくりと言われるたびに体を震えさせる。だんだん見ていて不憫に思えてきた。「キリギリス、どうしてもダンじゃないといけないのかしら? 代わりになる食材はないの?」 半泣きになっているダンを手を握りしめてキリギリスに尋ねると、キリギリスは難しい顔をしてうーんと唸った。「ないわけじゃあないんだが……」「なら、その食材を代わりにできない?」「……仕方がないな」 私はその答えにほっとしてダンの顔を覗き込んだ。心の底から安堵のたため息を吐いたダンは、安心した勢いでぼろぼろと涙を零してありがとうアリス、と私の胸に飛び込んできた。頭を撫でてやれば、更に涙が勢いを増す。「さあ、食堂へ行きましょう」「……うん」 ダンの手を引いて、食堂へ向かう。その後ろで、キリギリスはとんでもないことを言い放った。「それじゃあキッチンへ来てもらえるかな? ホワイトラビット」 ウサギだった。 そりゃあうさぎは食べれるものだけれど、それは動物としての兎であって帽子を被ってウサ耳を生やした少年じゃあないだろう。 驚いて振り返った私の手を、一歩先を進んだダンが引く。いやいやいやちょっと待て、ダン。 しかし私の驚きはその程度じゃなかった。ウサギはいつもの柔和な笑みを浮かべて私に手を差し伸べる。「アリス、ダンを」 その先は言わない。 そんな馬鹿な。私は心の中で顎を落っことした。Title of "Sacrifice"to be continude...?*****展開遅いな~。不定期です。とうか完全に2日に1記事です。たぶん6月まで続きます。翼です。また日記書いてるときに寝ちゃいましたよ。うーあーもうすべてを放り出して小説を書きたいです。もうすべてを忘れて打ち込みたい。やっぱりバンド組むんじゃなかったのかな・・・(ぐだぐだというか角川\(^▽^)/オワタ。集中力が続かないとこんなにも書かないものだと実感中。気まぐれどころか気が散りすぎていて何もできてない、といった感じです。課題やらなきゃなのになぁ~(汗ああ、なんだかしばらく鬱で暗い日記が続きそうでイヤンな気分です。なんだろなー。一足遅れの五月病かな~。死にたいってわけじゃあないから違うかな。 [0回]PR