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ひくり、と引き攣った口元。

「椿姫……やっと…やっと……」
 悲鳴をあげて逃げる観客に目もくれず、乱入者は肩を上下させながら会場へと踏み込んだ。私はVIP席の柵から身を乗り出して、ガラリと音を立てて崩れる瓦礫を踏みつける女性を見た。
 なんというか。
 赤と。
 黒と。
 白と。
 三色の単色でコーディネイトされたスーツはなんとも奇抜だった。白いストッキングなんてものを私は初めて見たし、それに付属する黒のガーターベルト。赤いスーツの胸元からちらちらと覗く、黒のブラジャーはともかく、なんでジャケットの襟が白いのか。そしてこれまた、タイトスカートの短いこと。長い足を瓦礫から守るのは、黒いハイヒールである。
「やっと見つけたわよこのメスブタァアア!!!」
 …………すごい人だ、と思った。
 きっと、包丁を振り回して追いかけてくる双子よりも、奇声を発するスコルよりも、半透明のゲルを放出するカエルの公爵よりも、ロリータの椿姫よりも、柔和な笑みを浮かべるウサギなんて鼻にもかけず、言ってしまえば多くを語ることのない変人――もといチェシャ猫に負けず劣らず。
 ――彼女が、ナンバーワンに奇抜で、最高にクレイジーだと思った。
「あれ…は?」
「あれは、トランプの女王様です」
 私がくらくらする頭でスマートな働きアリに女性の正体を問いかける間も、突然の乱入者はなんとも綺麗な歩き方で、なんとも汚い暴言を椿姫に吐きながら舞台へと歩いていく。
 赤と黒と白で身を包んだトランプの女王。
 手には、日本刀。
 コツリコツリと響くヒールの音が、会場中の皆を催眠術でもかけたかのようにその場に留まらせている。
 私は思わずゴクリ、と喉を鳴らした。
 トラプの女王は舞台の前で立ち止まることはせず、そのまま舞台上に上がってしまった。身軽な動作でふわりと飛び上がるさまは、まるで猫のようだ。
 怯えたように身を引く椿姫に、一定の距離と保ってトランプの女王は立ち止まった。ゆるりと刀を持ち上げ肩に置く。ニヤリと、赤い唇が弧を描いき、艶やかに開いた。
「さっさと鳥籠に帰りなビッチ!さもなけりゃそのロリ顔斬り刻むよ!」
 高らかに宣言するその声はとても楽しそうだ。怯える椿姫を追い詰めようとする、嗜虐者の愉悦が垣間見れた気がした。


Title of "A sadist on the stage."
to be continude...?
*****
トランプの女王様。
イメージは西尾維新の戯言シリーズに登場する赤い請負人。




とくに書くことがありません;課題も出来てないのに一日なにやってたんだろう僕・・・。
パソ制限しようかな・・・。


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