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確実に信号機色

 舞台の裾から飛び出してきたのは、床に届きそうなくらいに長い黒髪をおさげにして、安っぽいオタク向けアイドルの衣装を着た女の子だった。
 なんてこの場にそぐわない格好なんだろう。と、この場にいた何人が思ったのか。願わくば全員であって欲しい。
「ちょっとキリギリス!アタシの出番は一体いつなの?!」
 スコルに負けず劣らずのきぃきぃ声はいわゆるアニメ声。
「大人しく出番を待っていろ椿姫!演目は私のバイオリンからだという約束だっただろう!?」
「約束なんて破るためにあるものよ!演目の順番は交替、一番手はこの私よ!」
 ――凄い人が出てきた、と思った。いや、もう、なんていうか……なんだこの登場の仕方は。
「鈴虫たち!!」
 パチン、と黒髪の少女が指を鳴らすと、壇上の下部にある鈴虫の交響楽団にライトが当たる。チェロやバイオリン、フルートにトランペット、チェロやマリンバにピアノ、木琴……なかなか大規模な楽団の中心、指揮台に立つ指揮者は――バイオリンを持つキリギリスに良く似たキリギリスだった。
「ミュージック・スタートよぉ♪」
 黒髪の少女のウインクが見えたのは、スマートな働きアリが渡してくれた望遠鏡があったからだ。私は黒髪の少女のノリノリなダンスが始まる前に目元から望遠鏡を外し、スマートな働きアリに向かって呟いた。
「…………………………アレ、なに?」
「椿姫でございます」
 椿姫。
 たしか、結核で死んだはずじゃなかっただろうか。なんでこんなところであんな格好で歌って踊っているんだろう。
 少しだけ、気が遠くなった。
「……………………椿姫って、結核で死んだんじゃなかった?」
「椿姫は病気で亡くなることはありません。彼女はトランプの女王様に首を斬られないと死ぬことはできません」
 椿の名の通り。
 働きアリはそんな風に不吉な言葉を口にして、私のカップにおかわりを注いだ。今度はちゃんとミルクティーだ。
「………………なんで、あんなに歌ったり踊ったりしてるの?」
「それは……」
 何気なく訊ねた内容に働きアリは以外にも苦笑した。少しだけ言いづらそうに首を傾げて、アリス様、とひどく優しい声で囁いた。
「いいですか」
 私の傍に立ち、椅子の背に手をついた働きアリは、私の顔を覗き込むようにしてから舞台に目を向けた。そうして空いた方の手で舞台を指差す。
「舞台の端に追いやられたキリギリス。最初に舞台に出てきた方ですね。あれが現在のキリギリスの当主様です」
 人差し指の向かう先には、怒りのあまりバイオリンを真っ二つに折ったキリギリスがハンカチを噛んでいた。可哀想に。
「いまステージの上で歌って踊っているロリが、椿姫」
 椿姫のノリノリなステージに、いつのまにか会場が沸いていた。……頭も一緒に湧いてないですか皆サン。
「そして、いま指揮台に立っている方が、前当主のキリギリス様です」
 キッチリと着込まれた燕尾服の後姿では、望遠鏡があろうと表情を窺うことはできない。がむしゃらに指揮棒を振る奏者の筆頭及びその他の鈴虫奏者たちが奏でる音楽は――。
「ア・ナ・タ・に♪とっきめき☆イェイ!」
 ――頭痛がしそうな歌だった。
「前当主はイエス・キリストのように慈悲深くて、けれど頑固だったはずでは? こんな音楽を……いえ、クラシック以外の音楽を認めるとは思えない」
 私はつい口走ってしまった言葉を訂正して働きアリを振り返った。
「ええ、どうでした」
「過去形?」
「ここだけの話、前当主のキリギリス様は椿姫を大層お気に入りでしてて……」
「ああ、それで」
 恋は人を盲目にさせるとはよく言ったものだが、前当主キリギリスはまさにいまその状態らしい。なるほどとだけ呟いた私は、働きアリが注いでくれたカップに口をつけた。
「それにしても、椿姫がここにいることが知れれば、トランプの女王様に首を跳ねられるでしょうね」
 ゆっくりと体を離して直立する働きアリは、なんとも不穏なことを口走った。
「どうして?」
 眉を寄せて働きアリを仰ぎ見れば、柔和に笑って覚えていないのですか、と言った。
「だって、椿姫はトランプの女王様の標的ですから」
 働きアリが言い終わると同時に、椿姫の歌も終わった。そして轟く、轟音と悲鳴。一般観客席にいた人たちが一斉に安全な場所へと体を寄せ、観客は会場の左側に集まった。
「やっと見つけた……椿姫」
 凛とした声が、綺麗な声が、会場に響き渡る。
 ちくりと、頭が痛んだ。


Title of "La traviata"
to be continude...?
*****
お久しぶりのアリスです。
なんだこの急展開。
なんだこの人(ぉぃ
本当に何も考えずに書くと予想外のものができあがります。短編等と違いイメージが先あるんじゃなくて、思いつくままに書いてるので。
でも楽しい(笑


今日はすっとパソコンで弄ってたのでとくに書くことがないという(汗
なので最近ずっと思ってたことを書いてみます。


あのですね。
ものすごくイメチェンがしたいです
髪をばっさり切って、金髪にしてところごとこカラー入れて、すんごい馬鹿みたいな頭にしたいです。親がびっくりするような(笑)
希望としてはの三色に塗り分けることなんですが、流石に狙いすぎなうえにそこまで目立つのは駄目かなと思ったり。
少なくとも白髪が増えてきたので髪染め直して、髪の毛すいてもらいたいです。重い重い。

あーでもほんと、無意味にイメチェンがしたいです。
すっごい頭は今しかできないしなー・・・。

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