「やったね!」と彼女は笑う。 卵の殻というのは、案外丈夫にできていて、たとえば地上1500mの岸壁から一直線に地面の上に落としてもびくともしないくらいには丈夫である。 そんな卵の殻を纏っていた双子の片方の、身に付けていた卵の殻が割れたのだ。パリンともガシャンとも言わず、ただパキパキパキと軽い音を立てて卵は割れた。スコルの右の頭のくちばしによって、それはもう綺麗にといってもいいくらいに破壊されてしまった。「きゃぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 叫びを上げたのは、卵の殻を割られた方だと思った。それほどまでに、双子の声の音程も、声を出すタイミングも、息が切れるまでの時間も、ピッタリと同じだった。輪唱どころではなく、同じ声が寸分の狂いも一瞬の狂いも刹那の狂いもなくまったく同一だったので、それはひとつの声に聞こえたのだ。 けれど、違った。 よく見れば、卵の殻を打ち破られた双子の片割れも、それに駆け寄る双子の片割れに駆け寄る方も、どちらも絶叫に口を大きく開けて、たしかに叫んでいた。「どうしよう!?」「どうしよう!?」「どうしよう!?」「どうしよう!?」「「アリス!!」」 うわ、こっちきた! 元来、卵の殻しか着ていない双子なので、卵を破壊された片割れの方は裸も同然である。もう一人の方が粉々になった卵の殻を必死に集めいるが、しかし当然だが再生されるわけもない。 けれど、そうは言ってもどうすることも――。「すまないな」 低い声で謝ったのはスコルの左の頭だ。(右の頭はさっきからゲラゲラと甲高い声で人を馬鹿にしたように笑っている)そうしてバサリと羽ばたくと、スコルの漆黒に近い濃紫の大きな羽がその場に舞い降る。ひらりひらりと宙から降りてくる羽毛は、抱えてみれば非常に軽く、そしてとても厚かった。「それを縫って着せてやれ」 持っているだろうと、スコルの左の頭が私のポシェットとつついた。そういえば忘れていたけれど、私は帽子屋のポシェットを持っていた。帽子屋が帽子を作り繕うために常備しているポシェットのなかには、普通の裁縫で使わないような針と糸も入っている。「わかったわ」 私はスコルの左の頭に頷いて、彼が振り落としてくれた羽毛をいくつも拾った。鳩の形に似ているスコルの翼の羽は、よく見てみれば太陽の光に翳すとまるで孔雀の羽の模様のように多彩な色彩が浮かび上がった。「見惚れている暇はあるのか」 たしなめるスコルの左の頭に肩をすくめて、私はポシェットから毛糸と太い縫い針を取り出した。「…………」 縫い針を仕舞った。 考えてみれば、一体鳥の羽のどこを縫えというのか。スコルの羽は普通の羽毛と大きさと色以外たいして変わらず、骨の部分を貫通させられるわけがない。つまるところ縫う部分がないのである。これは羽の毛の隙間に毛糸を結びつけたほうが賢いやり方だろう。 そういうわけで、私は根元に近い部分の、毛と毛の間に毛糸を結んでいった。ちまちました作業であるが、卵の殻を割られていない双子の片割れが、卵の殻を割られた双子の片割れと同じようにショックを受けたようにうな垂れているので、私から手伝いを申し込むのは些か難しかった。なので私は一人もくもくと毛糸を結びつけ、バスタオルくらいの大きさほどにスコルの羽を結び繋げたのである。体に巻けば服の変わりくらいにはなるだろう。 私はできあがったものを持って双子に近寄った。双子はさめざめと泣いている。たしかに裸なので恥ずかしいかもしれないが、泣くほどか。泣くほどなのか。私としては卵の殻を割られていない双子の片割れに、怒り狂ってスコルの右の頭を斬り倒して欲しいとこだったのだが。「できたよ」 ほろほろと涙を流す双子に少しだけ引きつつ、私は卵の殻を割られた双子の片割れに羽毛でできたものを差し出した。「アリス…」「アリス…」 ほっとしたように双子が顔を上げた。私は優しく微笑んで、「着て」と双子の手に置いた。「さあ、キリギリスの演奏会に行きましょう」 そう言ってスコルに手を伸ばせば、スコルの左の頭はやれやれといった風に首を振ったが、暴れる右の頭を制して招待状を放してくれた。はらりと落ちてくる招待状を慌てて受け取って、私は双子を振り返った。 ちゃんと着てくれている。二重ほどに重ねて作ったそれは、ちゃんと肌が見えないようになっていて、我ながらいい出来だ。「アリスよアリス」「アリスよアリス」 双子が恥らうように涙をぬぐって私の名前を呼んだ。 お礼なんていいのに。と思ったけれど、感謝の気持ちは素直に受け取るべきだ。だから私は微笑んで、双子になあに?と優しく尋ねた。 双子は少しだけ囁き合って、口を開いた。「「尾羽が良かったけど、文句は言わないでおく」」 ……言ってるじゃないか、文句。Title of "complain."to be cntinude...?*****部屋がすげー綺麗です。いきなりすみませんどうも部屋が掃除できて浮かれている翼です。半身浴をしようと思っていたのに、友達とメッセしてしまいて気がついたら4時ですよ奥さん。短編も書き上げてUPしようと思ってたのに失敗したぁorzまあいいか。春休み万歳。明日に回してしまえ。とにかく、部屋にスムーズに出入りが可能で、座ってゲームできるようになりました。やったね!!掃除機かけたのもかなり久しぶりです。11月から掃除掃除言ってましたが、かれこれ5ヶ月……多分、ギリギリ5ヶ月、やっと終わりました。はぁ。いろいろ捨てたなぁ。ちょっと前までの自分なら絶対捨てなかったろうな。心に余裕が出来たのか、それとも気が無くなったのか。ともかく良かったです。本当に物が多すぎなんだ僕の部屋は。つい今さっきなんですが、お気に入りの洋楽を見つけました。ケーブルテレビのスペースシャワーTVでちらりと見た、日本語歌詞付きPVでピンと来たのですが、「I Wish I Was A Punk Rocker」という曲。歌詞が素敵なのです。「I was born too late to a world that doesn't care(髪に花をいっぱい付けたパンクロッカーに生まれたかった♪)」とか。そんな。機会があれば是非聞いてみてください♪しかし、日記を書こうとしたら書こうとしていたほぼすべてを忘れてしまう不思議。なにか色々あった気がするんだけどな・・・(汗)えー・・とりあえず今日は銀行で通帳作ってきます。ミーツビシー。遅くなりましたがWeb拍手ありがとうございました!!そういえばHPがもうすぐ2000hitいきますね~♪こんなに辺境の辺境の辺境にあるサイトなのに、訪問してくださる皆様には本当に感謝感謝ですm(_ _)m折角だからなにかしたいけどなにをすべきか・・・・・うーん。キリ番リクエストはすでにこっそり設けてるしなぁ。K.Sの主役ふたりへの質問でも募集しましょうか・・・? [0回]PR