狭間 時間には狭間があるかと聞かれれば、私は否だと答えるだろう。帽子を被ったウサ耳の少年は、時間は連続して流れているからと言っていた。それを真実そうだと帽子を被ったウサギが言ったのだから、私はそれを信じるしかないのだ。 だがしかし、空間の狭間というのもは存在するとウサギは言った。空間は面の連続であるが為に、その隙間に微細な空間が生まれるのだと。そしてその空間は果てがなく限りがない。そこに落ちたら出てこれない。ウサギは常々私にそう言ってきかせていた。 けれど、空間の狭間がそこかしこに点在していては神隠しよりも性質が悪い。タイムトンネルよりテレポートより、入ったら出てこられない密室紛いの空間の狭間なんて、一体どうすればいいのか。外側から見ればメアリー・セレスト号のようにただ忽然と人が消えたようなものであるが、消えてしまった側からすれば途方に暮れる他ない。だから空間の狭間がそうそう簡単に出現しては困るのだ。 困るのだが。 私は途方に暮れた。 幸いなことに、浮遊感があったために私は”落ちている”を認識することは可能だった。それだけでなく、私の周囲に点在する蝋燭の灯かりが暗闇のなかで私の存在を確固たるものにしていてくれたおかげで、私は私の姿が見えないという非常な恐怖から逃れることは出来ていた。「さて、困ったわ」 ポシェットの中にキリギリスの招待状を仕舞い込みながら私は呟いた。声はそのままどこか遠くの方へ飛んでいって消えた。 ワインを置いてきてしまった。 まあ、もともとカエルの公爵に渡すものだったからそれはいいとして。「実際、空間の狭間じゃなければいいのだけれど」 時間の狭間よりも意地が悪いのだ、空間の狭間は。 私の周囲には蝋燭の他に、無数の時計が浮いていた。そこに据えられたかのように定位置を変えない時計たちを横目に見ながら、私は下へ下へと落ちていく。 まるで不思議の国のアリスである。 私は世界の果てにいかなければならないのに。ウサギを探さなければ。チェシャ猫だって見つかっていないのだから急がなければいけないのに。もうチェシャ猫を探すための号外は空を覆いつくしてしまっただろうか。 ――アリスよアリス。 ふいに声がした。 ――アリスよアリス。 私は辺りを見回して声の主を探したが、結局特定はできなかった。それは声の主が見つからなかったのではなく、声の主が多すぎるからだ。 私に声をかけたのは時計だった。 無数の声。 ――アリスよアリス。チェシャ猫は一体全体どこにいるんだい? 鳩時計がぱっぽーと飛び出した。「知らないわ。私だって探しているんですもの」 ――アリスよアリス。白ウサギは一体全体どこにいるんだい? アナログ時計の秒針の音はときに耳障りだ。「さあ、チェシャ猫を追って世界の果てに辿り着いたんじゃないかしら?」 ――世界の果て、 時計が一斉にざわめきを帯びた。鳩時計もデジタル時計も腕時計も壁掛け時計も銀時計もみんな口々に「世界の果て、」と囁いた。 ――世界の果てだぞ――世界の果てだって――世界の果ては――世界の果てには――世界の果てが――世界の果てに――世界の果ての――世界の果てで――世界の果てこそ――世界の果て――……。 世界の果てが、なんだと言うのか。私は首を傾げた。 時計が、一斉に鳴り出した。 りりりりりという鐘の音やジリリリリという音にピピピという電子音が一斉に私の耳を攻撃した。鼓膜が破れそうだ。あまりの音に私は両手で両耳を塞いで頭を抱えた。「五月蝿い!!」 そう叫んだ自分の声が時計のベルにかき消されて聞こえなかった。 頭が痛くなるほどの騒音が気が遠くなるほどの刹那の時間続き、そろそろ鼓膜が限界を訴えっかける頃、やっと時計は止まった。 ――アリスよアリス。 耳鳴りがひどくて時計の声がはっきりと聞こえない。 ――世界の―てでチェ―――にウ――を――せては――ない。 ――は、いけないよ。「よく聞こえないわ」 私はもう一度と強請ったが、時計は私の言葉を聞いてくれなかった。 どすん、と私は尻餅をついた。「いっ……たぁ…」 打った尻をさすりながら私が顔をあげると、そこにはパイプ煙草片手に驚愕に目を開いた芋虫のが居た。「――そうよね」 私は納得するように頷いた。 空間の狭間なんて、そうそうあっては困るのだ。「うん、そうよ」 私は物覚えが悪い。きっと時計が言ったこともすぐに忘れてしまうのだ。 「世界の果てでチェシャ猫にウサギを会わせてはいけない」、なんて、そんな言葉、聞いた覚えがない。 きっと聞き間違い、戯言に違いないのだ。Title of "Silly talk of a clock."to be continuede...>*****後半ぐだぐだですんませ・・・!(土下座なんで時計が出てきたのか、なんて僕が聞きたい。できればもう一度登場して欲しいけれど・・・そうなるんだ。そしてすんなり戻ってきてよかったのかアリス。と、自分で書いたものにツッコミを入れつつ。さて、部屋が片付きません!!本を置くスペースがない!集中力が続かない!!ぶっちゃけもうどうしようかと!!(泣)キャバが予想外に儲からなくて、バイトをもひとつ入れようと思います。タウンワークを見たら、ちょうど京都でゲームのデバッガーのお仕事があったので(登録制だけど)そこにいってみたいと思います。日給5000いくら~6000いくら。キャバで4時間拘束されて日払いが630よりはるかに良いです。ていうか正直めちゃめちゃナメてた・・・。人生の辛さを実感しました・・・経験だなぁ。ていうかひらかたパークで着ぐるみの中の人のバイト募集してるのがものすごく気になります・・・・や、やりたい・・・!!でも多分時期的なものとか交通費とかの問題でやらないと思うけど。でも一回くらい経験したいなぁ。着ぐるみの中の人。 [0回]PR