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人魚は子供を産むのか卵を産むのか。

 双子を連れてキリギリスの演奏会に行くことになってしまった。
 何故樫の木の根元なんて場所を通ったのかと、落胆からくる怒りを帽子ウサギに投げてみる。怒りは思っていたより収まらなかった。
 招待状が必要だった。
 キリギリスはイエス・キリストのように慈悲深いが、石頭の頑固親父の如く厳しい。
 「招待状を取ってくるから」と言い残し、私は急いで芋虫のところへ戻った。芋虫はバケットを食べ終わったのか大きなゲップをして、おどろくほどに膨れ上がっている腹を撫でていた。どうしたのかと私が訪ねたら、芋虫は憮然とした顔でバケットを食べたせいで妊娠したというのだ。おめでたいことなのに、芋虫はちいとも嬉しそうな顔をしない。すぱすぱとパイプ煙草を弄びながら、私を睨み付けてきた。
「やあアリス。今度はそのワインをくれるのかい?」
 芋虫がそう言って7本目の腕を伸ばしてきたので、私は咄嗟にワインを抱きかかえて隠した。
「このワインはカエルの公爵様に譲るので渡せないわ。それに貴方はいま妊娠中の身。アルコールは体に毒よ。ついでに煙草も止めたほうがいいわ」
 妊娠中である芋虫のことを気づかってそう言ったのに、芋虫は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「そう言われると思ったんだ!!酒は駄目煙草も駄目!きっとアゲハチョウの三羽の産婆がっそりゃあもうわいわいやあやあ口うるさく言ってくるんだ!」
 顔を真っ赤にした芋虫はその体までも真っ赤にさせてしまい、顔からパイプ煙草の煙でない煙を発しながら破裂寸前まで膨らんだ。私は慌ててまるで帽子屋のような醜態を見せてくれた芋虫の、徐々に遠ざかっていく足をひっつかんで地上に留まらせた。
「カエルの公爵様はどこにいるの?」
「カエルの公爵ならカエルの公爵の屋敷だろうよ」
 芋虫は泣きながら答えてくれた。涙を流す芋虫は自らの涙で熱を冷やし、ゆっくりと膨らんだ体を縮ませている。
「カエルの公爵様の家はどこにあったかしら?」
 私の記憶力はトリのそれよりも遥かに悪い。3歩どころか3秒どころか瞬きひとつでそれまでの会話をすべて忘却の彼方に追いやってしまうことだってあるのだ。
 場所を忘れてしまったカエルの公爵の家の場所を尋ねれば、芋虫は花弁に腰を落ち着けなおして涙を拭ってから言った。
「カエルの公爵の家はカエルの公爵の家のあるところにあるのさ」
「それはどこ?」
「カエルの公爵の家だよ。蓮の向かいのバーガーショップの隣さ。行く前に妖精の鱗粉を浴びるのを忘れてはいけないよ」
「どうもありがとう」
 私は芋虫に丁寧にお辞儀をしてから、自らの吐き出す繭にくるまれていく芋虫に背を向けた。
 カエルの公爵様の家がアイスクリーム屋の隣だということは、けして忘れないようにしたいと思う。

Tittle of "NO an invitation card"
to be continude??
******

掃除をしていたときに一万円冊を見つけ、無事に軽音の諸経費を払うことに成功しました!!
やっほいこれで不安がなくなった!
ついでに6日に友達をカラオケ行くことになりました!
残金1000円無い!イエア☆


・・・・だんだん自分はナルシスマゾなんじゃないかとorz

ちなみに今日も短編書き直しました(~▽~)
なんで記事がページ変わっただけで削除されるのか(・v・*)
なんでしょう?僕の修行なんでしょうか??

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