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夏の音

 褐色の肌は差別される。
 黒は悪だ。絶対的な悪だ。白ばかりの世界で、黒は異端で、蛇足のような、意味のない汚れと同義だ。
 あってはならないものだ。
 けれど黒は不可欠だ。
 光あるところに必ず影が存在するように、黒がなければ輪郭が描けないように、白があるところには必ず黒がなければいけない。
 黒は必要なものだ。
 では、ならば必要不可欠なものである黒が異端なる汚れとして差別されなければならないのか?
 答えは黒。すなわち闇の中だ。
 黒い兎の耳を持つ少年はふいに私から目を逸らし、遠くと見つめた。その視線を追って見やれば、とても遠いところに人影があった。
「アリス、来い」
 そう呟くと三月兎は歩きだした。遠くにある人影を目指して進んでいるのがわかったから、私は慌てて彼の後と追う。白いウサギ耳の少年と全く同じ衣装を纏ったその背中は、ともすれば勘違いをしてしまいそうだった。
 灰色の地面は乾いていてカサカサしている。黒いエナメルの靴が触れるたびにかさかさと嫌な音がする。普通の地面を歩いていてそんな音はしないから一体なんだろうと見やれば、そこには灰色の紙面がびっしりと敷き詰められて固まっていたから、私はつい足を止めてしまった。
「なに……これ」
 思わず息を飲む。紙面にはチェシャ猫の失踪を知らせる言葉がテトリスのようにびっしりと書かれている。
 さっき見たのだ、見間違うはずもない。
 それはチェシャ猫を探す号外だった。
「ねえ、待って……なんなのこれ」
 前を行く三月兎が足を止める。
 あスラックスのポケットに手を突っ込んでポーズを決めるかのように立ち止まり、少しだけ振り返った。
「見てわからないのか?」
 振りかえった角度があまりに狭く、三月兎の顔は見えない。どうせいつものにやにやとした嫌な笑みを浮かべているのだろう。
「チェシャ猫を探しているんだ」
「どうして? ……チェシャ猫はいつもいなくなるじゃない。あの猫はすぐに消えてしまうわ。弧を描いた口元を残して――」
「お前はいつまでそんな猿芝居を続けるつもりなんだ?」
 私の言葉を遮り、珍しく苛立った風な声を三月兎が発した。
「猿芝居って……」
「あー面倒くせえな! いますぐにテメエをぶっ殺して最初っから最後まで全部ぶち壊して終わらせたくなる!」
 笑い声を上げながら三月兎が灰色の空を仰ぐ。哄笑する三月兎を生まれて初めて観た。まるで珍獣だ。
 やっぱり三月兎は、あり得ない存在なんだと実感した。笑う黒い兎なんて、いちゃいけない。すべて終わらせたいなんて、そんな人間染みたことを口にする三月兎なんて、絶対的に可笑しい。
「アリス」
 名前を呼ばれて、思わずサーベルを鞘ごと抱きしめた。今の私の唯一だ。
「なあ、アリス」
 もう一度名前を呼ぶ。
 それから黒い兎耳の少年は、ゆっくりとこちらを向いた。
「アリス」
 その顔は。褐色の肌をしたその顔は。
 いつもの柔和な笑みを湛えて。
「アリス、僕の手を取って」
「アリス、俺の手を取れ」
 声が二重になって私の耳に届いた。
 考えてみれば当たり前のことだったんだ。
 黒がいるのなら、白もいる――わかっていたはずなのに、私はそのことを失念していた。


Title of "Othello"
To be coninude...?
*****

最近昼間に起きてられない。
翼です。

ええとまず、26日のWeb拍手ありがとうごいました!
ここ2-3か月?ほど拍手が稼働することがなかったので、思わず「びっくりした!」を10回ほど叫びました。
いっぱい拍手ありがとうございます!(-人-)嬉しさのあまりアリス書いちゃいました(笑)
そろそろ転載してー、なにか更新してーってしたいのですが、いかんせんやる気が(ry
ぼちぼちやってきます。よかったらまた押してくださると嬉しいですー(・v・*)


さてさてそして久しぶりのちゃんとした日記です。

タイムラグがひどいですが、皆さん日食見ましたか?
僕は日食の日の前日、なにをトチ狂ったのかちょっと本気で沖縄まで日食を見に行こうとしてました。
パソコンの履歴に飛行機の時間まで調べていたのが残ってて「本気で行こうとしてたんだ…」とちょっと遠い目になりました今日。
までもそれを思い立ったのが前日なわけで。五万あれば行って帰って来れるツアーがあったんですが、振込みなのでさすがに予約できるはずもなく。(見つけたの午後7時とかだし)だからといって飛行機のチケット代だけに六万も出すのはちょっとキツいってんで、流石にやめましたけどね。メッセでネットのお友達にちょっと本気で止められました。いやあ、あはは。
まあ、沖縄にはネット友さんがいるので会いたいってのもあったのですが。まあいいや、いつか会えるだろう。9月に来いと言われたのは断るしかないけれども。

んで、当日。関西方面は部分日食です。
こういうときだけよくわからない異様な底力を発揮したのか、珍しいことに9時半起床。
京都は曇っていて「あーこりゃ見れないなあ」と思ってたのですが、沖縄のネット友さんから写メもらってベランダに出てみたらなんと雲の隙間から太陽が見えてる!!!
さっそくデジカメを取りだし、服を着て、タンブラーにお茶を入れて携帯持って屋上へGO!!柵を乗り越え屋根の上(のところに貯水庫がある部屋の前に少しスペースがある)に陣取り。
その雲が丁度良いフィルターになってて目で日食を見ることができました。あんまやっちゃいけないんですけどね、やっぱり目傷めちゃうから。
で、じーっと見てたんですが、やっぱり曇っててなか見れない。
太陽に焦がれる思いで空を見つめ、涙を流す。(一回目)
そのうちちょっと雲が晴れて隙間からななんと三日月のような太陽が!!!
沖縄のネット友さんの実況を電話で聞き(ちょうど真っ暗になるところだったらしく)、「羨ましい」を連呼しつつも、やっぱり欠けた太陽に感動して涙を流す。(二回目)
やっぱりすごく感動しました。
真昼の月よりも大きくて、三日月のようで。きゅーって胸が苦しくなるんですね、すごい泣けた。
真昼の月はちいさくて少し透き通っている感じなのですが、やっぱり太陽は違いますね!なんかこう、わーって感じ。迫力が違うというか、「普段とは違う特別なことがおこっている」という先入観もあるのだろうけど、やっぱり太陽が欠ける、ってすごいです。
ああ、今でも思いだせる。ぎゅーって心が苦しくなって泣けてくる。あれ、なにこれ恋?(違)
部分日食なんでもちろんダイヤモンロドングを観ることは叶わなかったのですが、それでも十分すごかった。神秘的っていうとなんだか違う感じがするので、とにかくもすごかったとしか。
結局40分くらい太陽見て帰りました。屋上で寝転んでじーっと太陽みてんの。たまに起き上がって、近くの小学校の子供が出てきたの見たりして(笑)

それにしても、毎年どこかしらで日食ってやってるみたいなので、金出して外国とかいけばいつでも見れるらしいですね。
日本ではあと二十何年後かでしたっけ。また見れたらいいなぁ。


こんなものかな。
あとは……うん、かぼちゃの煮物が上手に出来ました。くらい。
少なくともハンバーグをさくっと作れるくらいには成長しました。ぶたミンチは安くて好きです。



ではでは、久しぶりの長い日記でした。
いやあ満足。

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