解ってるから痛いのか、解らないから痛いのか やっと視界がクリアになる頃になって、思い出したくないことを思い出した。 それがすべての記憶だというのはそれこそ今更で、再確認する必要などどこにもなかった。 すべては事実。 たったひとつの史実。 けれどただ、ひとつだけ晴れない記憶があった。 空を見上げる。灰色に覆われた空は、よくよく見れば誰かを探す号外に覆われていた。「……あれは?」 しゃくりあげる合間に尋ねる。相変わらず安定しない怪鳥の上で見上げた号外には、大きな文字がいくつも踊っている。 【チェシャ猫を探せ!】 【世界の果てにチェシャ猫が存在してはいけない!】 【この世界を守るためにチェシャ猫を探せ!】 【チャシャ猫を探し出して殺せ!】 【チェシャ猫を殺せ!】 私の体を支える手の力を緩めない二人も同じように空を見上げた。ジャックは号外の内容に目を細め、三月兎は相変わらずにやにやと笑っている。「アリス、チェシャ猫を知っているか?」 三月兎の言うことに首を傾げる。「紫とピンクの縞々模様の猫でしょう?」 にやにやとした笑みが一層深くなった。三月兎の瞳は深淵を飛び越えている。「アリス、忘れてしまいましたか」 名前を呼ばれて振り返れば、ジャックが寂しそうに笑っていた。彼の笑みはどこか嘘臭い。「忘れてなんかいないわ。チェシャ猫はチェシャ猫じゃない。口をにんまりと弧を描いて笑うの」 私がそう言うと、三月兎が途端に口を大きく開けて笑いだした。「これは傑作だ!!」 お腹を押さえてひいひいと苦しそうになってまで笑う三月兎に眉を寄せる。「……私、なにかおかしなこと、言った?」 ジャックに尋ねれば困ったような顔をして頭を左右に振るだけ。 スコルの飛行を妨げるのは怖いので声はかけられない。「そういえば、どこに向かっているの?」 空は号外に覆われていて天気なんてわからない。けれど徐々に高度を落とすスコルは、明らかに目的地に向かって一直線に進んでいるように見える。 私のふたつ目の質問には、ジャックは答えてくれた。 どこか哀しげな表情で、盗人は言う。「世界の果て、ですよ。アリス」 その言葉の響きは、電気羊に似ていた。To be continude...?Title of "Forgetting only one."*****うわあ、間がひどい。「され竜」の作者の浅井ラボ氏のブログを読んでいてすごく胸にきた。たしかにちょっとした間違いや失敗は誰にでもあることだし、ひきこもってばっかじゃ世界が広がらないのも解る。解るんだけど・・・と、まあ、言い訳ばっかりになるわけだわな、これじゃあ。失敗恐怖症、なのかなぁ自分も。相変わらず人の一挙一動が怖いし、どうやっても失敗ばかりするし。(今日も「急いでスープ作る!」と言って姉さんに「がんばれ!」って言われた瞬間たまねぎ落っことしたしorz)なんか失敗恐怖症っつーか人の目恐怖症に思えてきた。意識しすぎ、肩の力入り過ぎ、なんだろうな。ストレッチでもしようか。ひっひっふー。よし、今日こそは爪を切るぞ! [0回]PR