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「きっとトトロは僕のことを喰う気なんだ」

 ――自分さえトランプの女王様でなければ、誰が後継しても構わない――。
 集まった次代トランプの女王候補の面々は、そんな共通の考えを持っていた。
「これより、開廷致します」
 黒のローブを被った何者かによってハンマーが振り下ろされた。
 ざわざわとざわついていた法廷内が静まり返る。
「最初の被告人、前へ」
 カンカン、と硬質な音は場内に良く響いた。
 私は裁判というものは、被告人に判決を下すための場所だと思っていたので裁判官の言葉には驚いた。被告人というのは、そもそもひとりだけなのではなかっただろうか。それとも私の気のせいだったか。
「はい、裁判長」
 返事が上がって、ハイヒールが鳴いた。
 証言台の前にずらりと並んだ次代トランプの女王達の列から、赤と白と黒を身に纏うトランプの女王が一人抜けた。
 証言台へ立つ姿は、あまりにも潔い。
 どうして頭に冠を載せていなんだと、後ろの傍聴席から囁きが聞こえた。
「名を」
「ローズと申します」
「ふむ。トランプの女王に相応しい名だ」
「けれども私は辞退した筈」
「その頭部に冠を翳していない理由は?」
「トランプの女王に着任していないから」
 トランプの女王――ローズは少しも臆することなく言う。
「どうしてそんなに嫌がるの?」
 鈴の音のような声は上から聞こえた。見上げれば、裁判員席に金の髪の彼女が座るところだった。
 裁判長を筆頭に裁判員席は3つあり、金の髪の彼女がひとつと、空席がひとつ。そしてもうひとつは――、
「……おばさん?!」
 マンションの大家である太った婦人だった。
 婦人は私に向かってにっこりといつもの笑顔を向けてくれた。そしてつい、と顎で裁判官のほうを示す。集中しろということだろうと思い、私は証言台に目を向けた。
「何が気に入らないのかしら。トランプの女王になるのは名誉なことなのに」
「気に入らないところ?」
 ローズはそう言ってふっと笑った。
「この身体と、アンタの見た目かねェ」
 動いた。そう思ったときにはすでに、トランプの女王は鞭を振り上げて証言台を蹴っていた。どこに隠し持っていたのか、しなる鞭は空気を切り裂くように一直線に金の髪の彼女へと向かう。
 くたばれとか、そんなことを言うと思っていたのに、ローズは言葉を発しなかった。
 私の耳に届いたのはただひとつ。
 わざとらしいほどの、舌打ち。
「――遅刻した僕も悪いけれど、法廷内で暴力はよくないと思うな。裁判長の心証を悪くするだけだよ、クイーン・オブ・トランプ」
 音もなく裁判員の机に飛び乗って、金の髪の彼女を庇うように躍り出た人物。唸りを上げた鞭は、彼の両手に捕らわれて動きを止める。
 ローズは空中に留まる術を持っていない。だから鞭を放して、重力に任せて床に着地するしかない。
「ああ忌忌しい。忌忌しい上に憎憎しい。アンタは本当にどこでも湧いて出るね」
「そんなことはないさ。僕はチェシャ猫じゃないからね」
 心底嫌だというように顔を歪めて、心底忌忌しげに憎憎しげに呟くローズ。
 彼女の声に反論するは、よくよく知った優しい声。
 その声は、ひどく。
 ひどく優しい。
「ご来場の皆々様、並びに裁判長、そして先代の女王にマンションの貴婦人。遅れましてのご挨拶とお詫びをここに申し上げます。只今参上致しますは白のウサギで御座います」
 そんなことを飄々と言って、彼は優雅な仕草でお辞儀する。
 そうして顔を上げたところで、いつもの柔和な笑みを私へ向けたのだった。



Title of "Lay judge."
To be continude...?
*****
我慢、無理でした。





自重というより自制を覚えたほうがいい今日この頃。
多分、ストレスです。ポップコーン美味しい。シュークリーム美味しい。食べ続けてないとすぐにお腹が空いてしまいます。
GWのバイト代があると調子に乗ってお菓子を買いすぎてしまった・・・。多分7000円くらい食費というかお菓子でとんでら。畜生。


ビデオ屋に行くついでに、高校によって先生の顔見てきました。髪切っててびっくり、いつでも綺麗だな、あの先生は。
で、殺人未遂現場が近くだねと不謹慎発言を放ちつつお喋りしてきた。
いいなあ、母校は。


ええと、「美少女ゲーム・アニメをする人は心を破壊され、人間性を失っている」らしいです。
だからしばらく僕の中で「人間性を失っている」が大流行します。もちろん冗談通じる人にしか言えないけど。

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