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でもそれは糧になると信じてる。

 彼女は、ピンク色のドレスを身に纏っていた。
 ドレスは細い腰を発して広がり、裾は足元の靴を隠すまで長く、その肩にかかる金色の髪は眩いばかり。その髪の毛が寄り添う頬も桜色のように愛らしいく、ただ、ピンク色のドレスからはみ出した細く白い指が斧を持っていたために彼女の美貌は台無しになっていた。彼女が斧を手にしていなければ、私はきっと彼女に見惚れていたに違いない。
 けれど、真っ赤に燃えるかのような真紅の瞳だけは獣のように鋭かった。
 私は、彼女に逢ったことがあると思った。
 ――否。
 私は、彼女の目に遭ったことがあると思った。
 彼女は言った。
「久しぶり、アリス」
 にっこりと微笑みを浮かべて、彼女は私へ近づいた。さくさくと歩くその動作にもどこか見覚えがあるように思う。不思議でたまらなかった。何故なら、私は彼女の姿を見るのは初めてだったからだ。何故初めてとわかるのかなんてわからない。それは初対面の人がどうして初対面だとわかるのかと同じだ。
 私は左肩が訴える痛みに必死に耐えながらお辞儀した。
「――御機嫌よう」
「いい子ねアリス。よくできました」
 彼女は私を抱きしめてキスをしてくれた。それは何故か、ひどく覚えのあるキスの仕方だった。
 それにしても左肩が痛い。そろそえろ食い尽くされているんじゃないかと心配で堪らなかったが、私は左肩を見なかった。
「御機嫌よう御座います、女王様」
 私の隣でトランプの女王が彼女の前に膝を付いた。
「女王様御機嫌よう御座います」
 視界の中で、椿姫が膝を付いた。
「止めて頂戴、私はもうトランプの女王ではないわ。――貴女よ、トランプの女王」
 そう言って彼女はトランプの女王に笑いかける。
「ご冗談をトランプの女王様。私はトランプの女王でありトランプの女王ではありません。何故なら私は今だ王冠を戴いてはいない」
「いいえ、貴女はトランプの女王よ。さあ、今直ぐに王冠をその頭に戴せ、そこのクラブの7の首を刎ねるといいわ。薔薇の庭に青い薔薇を植えるなんて最低なトランプは、ふたつ折りにして火にくべてしまいなさい」
 彼女は持っていた斧を差し出したが、トランプの女王はやんわりとその手を押し返した。すると彼女はそのままトランプの女王に押し返す。――永遠に続きそうなやりとりは、けれどあっけなくそこで終了する。
「クラブの7の首はいつでもはねることが出来ますトランプの女王様。そんなことよりも先にアリスを助けていただきたく思います女王様」
 言って、トランプの女王は私を見て顔を顰めた。その仕草は、私がもう一生自分の左肩を見ないと心に誓うには十分の威力だった。
 ピンク色のドレスを身に纏った彼女はそこで初めて私の左肩に気付いたようで、びっくりした顔で私の手を引いた。
「大変! すぐに城の中へお入りなさい、アリス。白薔薇を斬りおとしてしまわないとそのまま喰い尽されてしまうわ。椿姫、トランプの女王、アリスを連れて早く城の中へ」
「わかりましたトランプの女王様」
 椿姫とトランプの女王は立ち上がると私を連れて城へと歩き出した。
「あなたはどうするの?」
 私は彼女にひどく余計なことを聞いた。
「私はクラブの7の首をはねなければいけないわ。トランプの女王がはねないんだもの」
 クラブの7の絶叫を背に、聞かないでおけば良かったと酷く後悔した。


Title of "Seven of clubs"
To be continude...?
*****
ピンクのドレスの彼女のイメージを考えていたら、いつのまにかトランプの女王が白髪に赤黒メッシュのドレッドヘアーになっていた。ミステリー。


絵がうまくならない。翼です。
文もうまくならない。翼です。
でもかくのは好きだ。だから絶対にやめません。翼です。


本日買った本。(リンクは全部amazon)
フダンシズム
Arcana(3)
近キョリ恋愛

近キョリ恋愛は姉さんのだけど。
フダンシズムはなかなか面白く、アルカナと近キョリは未読です。
散財は癖のようなものですよ(’▽゜)えっびてーん。


バイトの応募落ちました。
3時間で日給8000円だもんなぁ。考えたらそりゃあ応募殺到するよな。
仕方ない、かorz

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