マタイ27章46節 毛糸を手繰り寄せて、時おり背中越しに私の手元を覗き込んでは首を傾げるトランプの女王と椿姫をつれて、私は薔薇に囲まれたラビュリントスを進む。 途中、立ち寄った銀行で銀行強盗が起きたり、飛び乗った飛行機がハイジャックされたり、うっかり泉に赤い毛糸を落っことして「貴方が落としたのは銀の斧ですか、それとも金の斧ですか」と訊ねられたけどどっちでもなかったので自力で探し当てたり――そんな面白い事態はそうそう起こるものでもないので、私は地道に毛糸を手繰り寄せながら先へ先へと進んだ。 そうして辿りついたところは開けた場所だった。薔薇の生垣が途切れ、手入れの入れ届いた庭園にはラビュリントスの入り口と同じ、赤と青と白と黒の薔薇がそれぞれ四方の生垣に咲いている。庭園の中心に糸車があり、毛糸はその糸車に繋がっていた。「糸巻き……が、どうしてこんなところに?」「アリス、危ない!」 私は糸車に近づこうとしてトランプの女王に止められた。驚いて立ち止まる私の手から、トランプの女王は束になった毛糸を取り糸車へ近づく。「ってあれ危ないんじゃ……」「大丈夫よぉ。あの子はアレのことよく知ってるもの」 ひょっこりと私の傍らから顔を出す椿姫が暢気な声でそう言う。「どういうこと?」 尋ねる私に、椿姫はつい、と指を持ち上げて見せた。きれいな指が指し示す方向に目をやれば、トランプの女王が長い足で糸車を蹴り壊しているところで。「……豪快ね」 素直な感想を下にのせると、椿姫は頷く。「豪快よ。そして過激。ずっと眠っていたから体力が有り余ってるんじゃないかしら」「ずっと眠っていた?」「ずーっと。眠っていたのよ、ずーっと、ずーっと」 椿姫がそうやって息を吐く頃には、糸車はトランプの女王の足によって見るも無残な姿にまで破壊されていた。 私はそろそろと糸車だった木片を足蹴にするトランプの女王に近づいて声をかけた。正直あまり話しかけたくはなかったが、話しかけないことには話の展開は見込めまい。「あの……知り合い?」「随分前のね…ま、アリスが気にすることじゃないさ」 ガラン、と音を立てて転がった木片を一瞥してトランプの女王は踵を返した。「ほら、着いたよアリス。あれがトランプの女王様の城さ」 そうしてトランプの女王がアゴで示す先を見やる。 薔薇の庭園が終わり、誰かの庭園があって、そこから見えるトランプの女王の城。「……あれが……あれ?」 と、そこで奇妙なものに気付く。 せかせかと動くその奇妙なものは、片端から庭に咲き連なる薔薇に着色をしていた。「あれなに?」 せかせかと動く奇妙なものを指差して、私はトランプの女王に尋ねる。「トランプの兵だよ。あーあ、四色もあるから大変だろうねぇ」 ニタニタと嫌な笑い方をするトランプの女王の横をすり抜けて、私はせかせかと動くトランプの兵に近づいた。近づいてみればよくわかる。トランプの兵はせかせかと青色のペンキを持って白い薔薇を青い薔薇に変えている途中だったのだ。「あの、もしもし」 私は一生懸命に青いペンキを振るうトランプの兵に話しかけた。To be continude...?Title of "A spinning wheel."*****赤にしようか青にしようか迷ったけど、話の展開を考慮して青に。関係ないけど、この間の椿姫サイドの話、確実にネタバレですね。あの時は補完のつもりだったけど、しまったと思った(汗)とりあえずHPの方の転載からは外しておきますー。さてさて、もうすぐ4月ですね、早い早い。4月のイベントに胸をドキドキさせてます。翼です。どうでもいいけど、気がつけばアリス、一周年……orz!!!!!!!こんなに続けるつもりはなかったっていうか、むしろこんに続いてどうしようっていうか、アリス終わって纏められたらブログからアリス一掃しようと思ってるけどこんな多いのちゃんと掃除できるのか自分orzていう…!!!――まあ、なにはともあれ、終わってから考えます(ぉぃでも一周年て記念だから喜ぶべきかな。喜んでおこうかな、わーい。喜ぶといえば、嬉しいことがありました!Mac帰ってきたぁああ!!(*>▽<*)ノシ液晶パネルが不良品だったのはオイオイだけど、姉さんがクレームを入れるらしいので放置。よし、今度こそ大丈夫だという希望を持って大はしゃぎしときます。うわああい!!!うわあああああい!!!!(*>▽<*)(*>▽<)(*>▽)(*>)(*)( )(*)(<*)(▽<*)(>▽<*)(*>▽<*)(狂喜)これでパソコン占領できるぞ!残りの春休みいっぱいパソコンに喰らいついてやるぞ!ぅおおおおおおお(やめろ)そうそう、『ムーラン』の1,2と『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』を観ました。ムーランの感想は明日書くとして、多分もう観ない『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』の感想書いておきます。『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(公式/PC)僕は、雰囲気が好きです。僕は、さっぱりわかりませんでした。オワリ。…いやあ、本当にわからなかった。「レミング病」のレミングの意味さえわからなかったのは単なる無知としても、わからなかった。自殺について考えたい方はいいの……か、な??(汗)音楽と自殺についての話なのか、自殺と自殺についての話なのか、たんに音を主題にしただけなのか、よくありそうなスタティックさはわからなくもないし、音がすごいのは頷ける。でもって宮崎あおいちゃんは可愛かったです。うーん、でも本当にわからなかった。久しぶりだなぁ、首を捻る以前に「これはわからない」と思ったの。論理とか、話が難しいとかじゃなくて、単純にわからなかった。ニュアンスは伝わりそうな気もするけど、やっぱりわからない。音を作るシーンは好きだけど、すいません、浅野忠信さんが演奏するシーンでうっかり寝てしまったのは僕です、ハイ。さてさて今日はこの変で。明日は学校で先生のお手伝いでーす。いまちょっと知ったので追記。「レミングの集団自殺」は事実ではないそうです。ずっと信じてた……ネズミって大量繁殖すると壁に突撃ススメで集団自殺すると思ってた…orz(それに正確にはネズミではなくネズミ目のレミングという小動物orz) [0回]PR