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加減を知れと。

 螺旋階段はどれくら上ったのかなんてわからない。
けれどとにかく、ぐるぐると回転を繰り返し天上へと向かうような長い階段の途中に、虹色にその身を輝かせたスコルはいた。そのうえ、どうしてだか時計の中から飛び出してきたのだ。
 理解に苦しむ。
「アハハハハハハーアハハハハハハーバーカアーリスー! バーカアーリスー!」
 相変わらずの甲高い声に思わず耳を押さえてしまった。ふいと顔を背ければ、ダンが訝しげに顔を覗き込んでくる。
「どうしたのアリス。スコルだよ?」
「…それはわかっているわ」
 アハハアハハと笑い声が断続的に続くなか、私はその隙間にノイズをみつけた。正確に言えばそれは時計の声で、ボソリとしたとても小さな声だったけれど。
 しかし、はっきりとしていた。

「チェシャ猫が、」

「え?」
「え?」
 私とダンは顔を見合わせることなく時計を凝視した。時計はスコルを飛び立たせたままの状態で、甲高い鳴き声を放つスコルの不協和音に隠れて、何かを呟く。
「世界の果てはいけない」
「チェシャ猫は?」
「帽子を被ったウサギはどこへ行った?」
「時間がないぞ」
「終わりは、終わりは。アリス、終わりはもうすぐそこに来ているぞ」
 ふざけたことを言う時計だと思った。チェシャ猫がなんだというのだ。帽子ウサギは館のどこかにいるはずだし、世界の果ては、
 ――世界の果ては?
 パキン、と、なにかが割れるようなひどく胸騒ぎを覚える音が盛大に響いた。警告音を発する脳内を抑えようと躍起になる前に、バキバキと硬質のなにかが壊れていくような嫌な音がはるか下方から聴こえてくる。
「ア、アリス……」
「予想は、多分当たってると思う……」
 おそるおそる階段の端から下を覗き込んだダンが、それはもう絶望的な顔をして振り返った。
「ダン、走って!」
 私は叫ぶなり階段の途中にある時計を拾って走り出した。一瞬だけ振り返って、ダンが付いて来るのを確認すると時計を腕の中に抱いたまま螺旋階段を一気に駆け上がる。
 階段は、常に下から崩壊するものだ。
 腕の中でキィキィ声を挙げるスコルを時計の中にねじ込んでやりたかったけれど、走っている状態ではそんなことはできない。
「アリス、スコルを使おうよ!」
 ダンが後ろから叫ぶ。
「え?!」
「スコルだよ! 君は…君は本当に忘れすぎだ!!」 
 そんな鳴き声交じりの叫びは私の足を止めた。勢いあまって私を通り過ぎるダンを気にはしない。腕の中を覗き込めば、ちいさな虹色のインコが人を馬鹿にしたような笑い声を上げている。
 バキリ。
 鳩時計から飛び出たスコルを引きちぎる。木製のそれはバネを折るだけで十分だった。
「嫌なものね」
 思い出したくなかった。
 私はちいさな虹色のインコを引きちぎった手を開いてみる。当たり前だが、そこには引き千切られたちいさな虹色のインコが存在するはずだったのに。
 広げた掌の中には何もなかった。
 そのかわり、
 バキリ。 
「アアアアアアアリリリィイスウウウウ!!!! アアアアアアアリススススアリアリススウウウウ!!!!!! キキキタキタキタキィィイイイタァアヨォオオオオ!!!!!」
 壁を突き破って突っ込んできた、不法侵入及び傍迷惑も甚だしいを通り越していい加減にすればいい、巨大な鳥類生物。
 崩れた壁の破片が降り注ぐのをやり過ごして、私は顔を挙げる。
「久しぶりね、スコル」
 私は手を伸ばして、左の頭に挨拶した。


Title of "Remember it."
to be continuede...?
*****
アリス書けたー(’▽’)



最近、日が昇ってから寝ています翼です。

なんだか鬱抜けたみたいですー。わーい♪ちょっとひきずったりしないか心配だけど、調子いいからいいやーvv
どきどきするけど、鬱々としてるよりはよっぽど健康なので嬉しいです。

クラスメイトが「TRPGやらない?」と言って、僕が「やる」と言ったらTRPGのリプレイ集(ヘッポコリプレイ集と評判らしい)を貸してくれました^^
もうちょっとで読み終わるんだけど・・・明日学校くるんかいなあの人(汗
僕は4限目だけなので、会えるかどうかちょっと心配ですー;;

そしてふとファンタジーが書きたい最近。

そのうえもうすぐ夏休みだというのに金がない最近(汗
頑張るぞー!!!!!!!

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