さて、どうしましょうか。 カエルの公爵の家は、エッシャーの絵画を模している。 屋上には上り続け下り続ける階段があるし、邸宅の離れには一枚の絵画を辿って巡りつく。 私は邸宅の扉を二回ノックした。 1秒かかって扉が開く。カエルの公爵に仕える羊の執事がそこにいた。「いらっしゃいませアリス様。ただいまご主人様は執筆中でございます。奥様はテラスにてご歓談中でございます。どなた様に謁見を希望ですかな?」 真紅の絨毯がひかれたフロアを羊の執事に付いて進む。相変わらず煌びやかな邸宅である。ミロのヴィーナスのレプリカが私を見下ろしていた。「カエルの公爵様に会いに来たの。キリギリスの演奏会に行くための招待状がどうしても必要になってしまって。ああ、でも奥様が帰っていらっしゃるのなら挨拶していこうかしら」「ならばテラスへご案内致します。ご主人様はただ今書斎に引きこもっておりますので」 羊の執事は呆れたように頭を振った。 カエルの公爵が書斎に引きこもっている、という文法はなかなか正確な言い回しである。カエルの公爵は奥方が旅行から戻ってくると私物を一切合財書斎へ持ち込んで出てこなくなるらしい。 まったく、立派な引きこもりである。「今回はいつごろから書斎に?」「先月の頭です」「……長いね」「お風呂にもでてきません」「……ご苦労様」「まったくです」 羊の執事は顔色一つ変えずにそう言って捨てた。もう何年もカエルの公爵に仕えているのだ。そりゃあ慣れもするし諦めもつくのだろう。 私は羊の執事の後を追って進んだ。大きな天窓から降り注ぐ太陽の光を溜め込んだ客間を通って、この世の嫌悪と憎悪を詰め込んだ寝室の前を横切り、パンとジンギスカンの香りのする食堂の近くを抜けてやっとテラスに出る。 テラスには数人の男性が一人の女性を取り囲むように座っていた。「奥様、アリスがいらっしゃいました」 羊の執事が言ってカエルの公爵夫人はこちらに顔を向けた。 私はスカートの裾を持って一礼すると、男性の間を通って夫人へと近づき、跪いた。そのまま夫人の手の甲にキスを落とす。 見上げれば、夫人は恍惚とした表情で私を見つめていた。「久しぶりねアリス。会いたかったわ」「私もです奥様」 少女のような容貌は出会ったときと寸分も狂わない。陶器のような肌に絹のような手触り長いプラチナブロンド。大きな瞳にはルビー色のそれがはめ込まれている。 私は嬉しそうに微笑むカエルの公爵夫人に向かって、まったく同じ微笑を返した。Title of "The duchess of a frog."to be continuede?***** 朝です。おはようござい(ryええ、いいませんとも。むしろ言うのは「おやすみなさい」か(笑)今日もまたパソコンにへばりついて一日を終えました。完璧廃人生活です。専門入学当時の希望に満ち満ちた僕は一体どこへ行ってしまったのかorzしかしこんなニート生活をちゃっかり幸せだと感じる自分もいまして、はてさてニートになってしまう若者の気持ちが垣間見えた瞬間でした。・・・・・・・・・おやすみなさい。゜(ノдT)゜。 [0回]PR