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君の世界が嘘だというなら。

 ――ボクはきっと、電気羊の夢を見るよ。
 帽子を被ったウサ耳の少年は、そう言って哀しそうに笑ってみせた。紅茶が冷えるから席に戻りなさいと注意すれば、「急ぎの用事があるからこれで失礼」と優雅にお辞儀して去っていった。
「あの子はいつも気まぐれね」
 マンションの大家である太った婦人は、そう言って鼻を鳴らした。ピンク色のチークが若作りさを演出していて、豚のような顔をした婦人にはとても似合っている。
「彼はあんなに急いでどこに行くのかしら?」
 ふと思い浮かんだ疑問を口にすれば、婦人は肩をすくめるだけだった。
「チェシャ猫が戻ってくれば、彼ももう少しだけ楽になるんだろうがね」
 ここのところ帽子作りに飽きてしまった帽子屋がそう言って取り出したのは、去年のホワイトデーに私が渡したクッキーだった。妖精の粉をまんべんなく振りかけておいたのに、帽子屋がいっこうに空を飛ばなかったのはこうういうことだったのかと心の中で手を打った。
「いるかい?」
 大仰な素振りでクッキーを差し出す帽子屋は、私がクッキーをあげたことをすっかり忘れているらしい。私はなるべく去年のホワイトデーを思い出させないよう自然を装って首を振った。
「いらないわ」
「如何かな?婦人」
「遠慮しとくよ」
 婦人はニヤリと笑って私を見つめていた。私は帽子屋にわからないよう肩を上下させて、婦人への口止めをした。婦人だって止めるよりは黙っていた方がいいのだとわかっているのだ。それと、乙女心を無下にした無神経者へのいい薬になるのだ。
 ――妖精の粉の使用期限が切れていなければ、の話だけれど。
「じゃあ失礼して僕だけ頂くよ」
 そうして帽子屋がクッキーをすべて食べ終わる頃には、チェシャ猫の行方を探す号外がばら撒かれていた。天上から降ってくる無数の紙はいたって資源の無駄であるが、帽子屋は無駄な資源を腹の中に送り込むことでなんとか地上に降り立つことができるのだ。
「女の子の厚意を無駄にするからだよ!」
 ブタに似た婦人は威勢よく笑いながら帽子屋に手を振った。帽子屋はプカプカと宙を漂いながら、必死で地上へ向かって両手両足をバタつかせている。
「おばさん、私、そろそろ行きます」
 不憫ではあるが自業自得な帽子屋を一瞥して私は立ち上がった。
 チェシャ猫の行方を探す号外が空を覆う前に、あの柔和なウサギを探さなければならないのだ。このまま帽子屋の余興に付き合うのは嫌ではないけれど、このままここにいてもチェシャ猫は見つからないのだ。
「気をつけていきな」
 婦人は別れ際に帽子屋の持っていたポシェットを預けてくれた。ついでにワインを一瓶とバケットをくれたので、私は両方を抱えなければならなかった。
 とりあえずの目先の目標はウサギだ。
 あの帽子を被ったウサギを見つけなければ、チェシャ猫の行方が如何ともしがたいことを私はよく知っていた。だからまずはなによりも、彼を見つけなければならないのだ。
 世界の終わりが、世界の果てが、世界の崩落がすぐそこまで迫っていたので、私はウサギを追いかけて穴に落ちた。

Tittle of "Alice drives off a rabbit."
to be continude??

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今日も一日をパソコンの前で過ごしてしまいました。
時間を無駄にしている気がする・・・orzorzorz


とりあえず、僕には恋だの愛だの早いような気がします。
「好きです」と追いかけられるとどうしても萎縮してしまい、逃げる道しか見えなくなるからなあ。
好意を向けられるのは嬉しいのですが、問題は僕だよなぁ。
















































寂しいと、愛して欲しいと泣いていたのは
はたしてどこの誰だったのか

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