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どうせ泣きながら歌うんだろ。

 蛙の合唱を耳にしながら、ユウタは文句を言った。五月蝿いとか気持ち悪いとか、そんなあり大抵の言葉を口にして、最後にポツリと賛美を漏らす。
「けど、綺麗だよな」
 グェグェグワグワと不協和音の撫でる草は、ときどき蛍のおかげで白く輝く。小川の水が綺麗じゃなくなるのは、私たちが大人になるよりもきっとずっと早いに違いない。
「なんだかなー」
 冬に蛍だなんて不気味なんだかロマンチックなんだか。冬蛍なんて名前、ありきたりすぎて笑えてくる。
「なにか不満?」
「別にぃ?」
 ぺろりとつき出した舌が赤い。夏仕様の氷菓子はイチゴ味の液体ふりかけに翻弄されて、そもそも美味しいはずの天然水は加工された甘味に変身していた。
 世知辛い世の中だ。
「お前こそもっと楽しそうな顔すれば?」
「だって、そっちが楽しくなさそうなんだもん」
 気温が零に近づくにつれて、山に入る者も右肩下がりだ。まったく、悲しきかな人の心の移ろいやすさ。
「だって寒いんだから当たり前じゃん?」
「綺麗なのになー。みんなも見に来ればいいのに」
「無理無理。みんな、ここがずっとこのままだと思ってんよ。だから絶対来ないって。ここが綺麗なままなわけじゃないし、綺麗じゃなくなればやっぱりみんな来ることないし」
「変なところ現実主義だよねー、男の癖に」
「ジェンダーしろよ」
 はたしてジェンダーという単語は動詞だっただろうか。首を傾げる私にユウタはニヤニヤと感じの悪い笑みを向ける。指先が沈んだ小川は、そのうち私の身体を指先から凍らせていくのだろう。綺麗なまま死ぬのなら、それも悪くはない。ユウタのニヤニヤ笑いを最後に意識が止まってしまえば、まあそれも本望だろう。
「それとも、お前は女の癖にって言われてもいいのか?」
「女の癖に力仕事するなって言われれば、仰せのままに」
「ずりぃ」
 クケケと奇妙な笑い方をしてユウタは私の隣に座った。小川の水に手をつけて、冷たいと言ってすぐに手を引く。そうしてまた文句を言うのだ。
 冬なんだから、水が冷たくて当たり前だろうに。
 温かければ温泉だ。そんな恐ろしいことはない。近くに火山口があるなんて考えただけでも身の毛がよだつ。天災はこの世で最も憤りをどうすることのできない災害だ。そんな、悲しくて辛いことはない。
 いや待てよ?天災だからこそ憤りが軽減されるってこともあるのかな?
「なに黙ってんの」
「別にぃ?」
 唇をとがらせて言えば、帰ってくるニタニタ笑い。
「この冷水ん中沈めんぞコラ」
「蛙はよくこんな水の中で生きてるよねー」
「こっち向けバカ」
 蛙の泣き声は川の中の大合唱。草陰からは冬蛍のスポットライト。そっと覗いて見られることがあったら、私はいますぐにでも穴を掘って逃げ込むことだろう。
「唇冷たっ。もう帰るか」
「えーもうちょっと」
「うるせー。口ごたえすんなってーの」
 言うだけ言って、私の意志なんて放り投げたユウタが私の手を引いて山を下りる。そこら中を照らす冬蛍も、こんな甘い雰囲気の中で子作りをすればいいのにと思う。冬は寒いから、熱く光を爆ぜているんでしょう?
「冬にカキ氷はやりすぎたな」
「アイスは炬燵のなかで食べるものですよ」
 一体いつまでこの森に声が残っているんだろう。冬蛍の恋人達に奏でる、蛙の真意の読み取れない泣き声が、綺麗な小川に流されていく。
「帰りに買うか。スーパーカップとか」
「私ガリガリ君がいい」
「カップのやつにしとけ」
 小川の水が綺麗じゃなくなっても、蛍の熱が途絶えてしまっても、蛙が鳴くことも泣くこともなくなっても。
 ただ、繋いだ手の暖かさだけは、変わらないでいてくれればいいと思った。


fin
*******

ここのところ日記が不定期で申し訳ないですorz

全然関係ないですが、たまにこぅゃって文字ぉ小文字に変換するのが多ぃんですが、これ賛否両論ありますよね。小説とかで語尾を伸ばす以外にやられると首を90度ほど曲げてしまう翼です。あと小説の文章中の(笑)も。
メールとか日記とかなら別にいいんだけど、携帯小説でも小説という形態のなかの仕様じゃない普通の文章中にやられるとなんか嫌だよなぁ。
なんで突然こんな話なのかというと、全く脈略ありませんが、僕がいま眠いだけです。

うーん、最近日記の文章が横暴な気がする。
まあいいか。(いいのか)

えっと、とにかく、小文字を使っていてもその小説に合っていればいいと思います!(←前言を覆す発言)



昨日は部屋を掃除しようとしましたが失敗しました。あれはもうなんか、無理だ。ゆっくりやろう、うん。ゆっくり。

今日は学校に行きました。今年最後のHR!!ちゃんと時間に間に合いましたよ!遅刻しなかった!!
だからか先生にも友達にもクラスメイトにも「今日傘持ってきてないねんけどー」とか「天気予報外れるな」とか言われました(笑)うわーい畜生☆

帰ってから、最近大ハマりのコミュニティサイトで知り合った友達とメッセして(急に来なくなった人だったから心配してたけど、無事みたいだった)、それからちょっとジャスコへ。久しぶりに行ったら遠かったです。
家電コーナーでLANケーブルの3mと5mを買い、ゲームコーナーへ行って、コインゲームをして、クレーンゲームで下半身裸のくまさんをゲットしました。わりと大きいんです。
そしてひとりでポムの樹で夕食~♪プレートセットの、明太子スパ+ごぼうサラダ+なすとトマトのソースオムライスを注文。ごぼうがからりと揚げてあって美味しかったです。
夕食を食べながらRPGの企画書の案を練ってました。ああ、でもなんか忘れそう。メモしとこう。
僕の作る企画書の怖いところは、提出前夜にしてそれまで考えていた総てが無に帰すところです。まったく別のものを思いつくから。嗚呼、あな恐ろしや。

帰りにビデオ屋に寄ろうと思っていたのですが、のだめカンタービレがあることを思い出して即帰宅。でも結局半分しか見れなかった・・・木村了君見たかったのになぁ(凹)


そしてチャットをやって・・・たらあらまあもうこんな時間ですよ奥さん。

お風呂入って寝ようと思いますー。おやすみなさいです。

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