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クドリャフカの柩

「前の方が良かったよなぁ」
 片方のヘッドホンを耳に当てたモモが言う。
「前の方がさあ、なんてーの? ギターとかガンガンに鳴らしてさ、勢いあったじゃん。若さっていうか」
 親指と人差し指でつまんでぶら下げた歌詞カードをつまらさそうに見つめたモモは、頬杖を付いていて痺れた反対側の手を振るった。
「今じゃバラード系ばっかじゃん。大人し過ぎ。これじゃあもうロックバンドとは言えないな。なんっか、ガッカリって感じ。もう長くないね、このバンド」
 イントロが終わった曲がすべて終了するまであと4分と53秒。モモは薄っぺらい歌詞カードを重力に任せてゆるやかに机の上に落とすと、自分の耳からイヤホンを引き抜いた。
「こんなのでも好きなの?」
 一瞬、俺と、この歌を作った人間に対しての侮辱かと思った。けれどモモの頭はそこまで良くない。俺はそのことを思い出し気分を静めた。
「俺はな」
「わかんねえな。俺はあんまり好きじゃない」
 別に聞いてないし。
「っていうか、今のコイツ等は好きになれないな。前の方がよかった。たとえばさあ」
 そう言って、モモは旧作シングルのタイトルを挙げていく。それらはちょっと以上に有名になったものばかりで、ためしにあまり有名じゃないタイトルを出してみたら「なにそれ?」と色んな意味で素直すぎる返答が返ってきた。
「やっぱり、前の方がさー」
 前。
 前前前。
 前っていつだろう。アーティストが曲を作って、その曲の色が変わっていくのはなにも今聴いているバンドだけじゃなかろうに。不変なものなんてないのに。
「皆言ってるぜ。期待外れだとか、好きじゃなくなったとか」
 俺はファンだから、彼等が若い頃に作った激しい曲も、大人になってちょっと落ち着いた感じの曲も、すべてが好きだ。年を取ると考え方も変わって、曲調が変化するのは当たり前なことだろうと思う。
 それは自然なことだ。評価しこそすれ、批評の対象には成り得ないだろう。
「お前、馬鹿だろ」
「は?」
 俺は放られた片方のイヤホンを、モモの声を拾う役目を果たしていた耳へとねじ込んだ。
 馬鹿はどっちだ。


fin
********


書いといてなんですが、わけわからない話だなぁ。

ちなみにタイトルには全く意味ありません。語呂のみな感じ。
最初は「スプートニクの柩」だったのですが、意味が通じないので書きなおしたら、まんんまスプートニクになってしまった、という(苦笑)


今、限りなく眠いです。
というか、寝そうです。

そんなわけでひとまず終了。
書き直しにはあまり期待しないでください(汗)

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