祭囃子と京都の夏 気がついたら1ヶ月以上経過していてどうしようかと。7月も半ばですね。京都では祇園祭が開催されています。本日、バイト先へと自転車を取りに行くついでに、焼きそば、チョコバナナ、ラムネを飲み、からあげ、みかん飴、りんご飴をお土産に、カキ氷を2回とイカ焼きを食べました。あれ意外と少ないや。しかし歩行者天国は圧巻でした。バイトなくてよかった、マジで。どんどん気温が上がっていますがみなさま暑さにやられぬようお過ごしください。 ------------------------アルマは妖精である。妖精というのは、自然が異界からのなんらかの干渉を受け実体化し、知能を獲得した生き物のことだ。人より先に知能を備え、この世界には存在しない果実もしくは霞を食べて生きている。人間に発見されてから、種族差別という名の迫害と淘汰の歴史を持つものの、いまでは異界とこの世界を繋ぐ役割を担っている。時折現れる、人に害なすもの――それらは死の運搬者とも影なるものとも呼ばれる――を察知し、危険を知らせる。そして妖精のなかにはもうひとつ役割を持つ者がいる。むかし、緑色のミニスカートのドレスを纏った妖精が、ピーター・パンという少年を導いたという史実が妖精の間にはある。その役割は現在に渡って引き継がれ、ベルを名乗る者はその役割に就くと言われていた。アルマ・ベルがそのことを脳裏に思い出した時、ピーター少年は町内を2周してから「もう無理」と弱気な台詞を口にした。「はいその台詞マイナス点。町周3周追加」「嘘だろ?!」 非難の声をあげるピーターにアルマはふんと鼻を鳴らすだけ。はっ、と小さく息を吸ってピーターは勢いを止めず走り去っていった。闇に融けるような黒無地のパーカーは、袖がないせいでピーターの白い腕を目立たせていた。 夜風が生暖かくアルマの髪を揺らして、背中で震える羽の音を届けてくる。空気を切り裂くようなスピードで振動する妖精の羽は、闇夜にきらきらと妖精の粉を撒き散らしながら空中で揺れるアルマの軌跡を描く。「間に合うんだろうな……いや、間に合わせるしかねえか。クソが」 忌々しげに吐き捨てて、アルマは右手を宙に翳した。そのままぐるりと腕を回して円を描けば、手首にはまっていた金属の腕輪の直径が大きく変形する。そうしてアルマがその腕輪へと視線を移すと、輪の中のなにもないはずの空間に走るピーターの姿が映っていた。「なにちんたら走ってんだよアイツは」 汗を後ろへと流しながら足を前へ前へと進ませる。彼自身は必死にやっているのだろうが、アルマの思い描く理想には程遠い。全然駄目だ、と黒い妖精はかぶりを振ってため息と共に視線を下ろした。「うわあああああああっ!」 少年の悲鳴にはっとして顔を戻したアルマは眉間に皺を寄せた。「おい…おい、どこいきやがった?!」 アルマが先ほどまで見つめていた光景。その背景は変わっていないのに、ピーター少年の姿だけはどこにもなかった。*****Title of "Disappearance."To be continude...? [0回]PR